2021 Fiscal Year Annual Research Report
Three-dimensional analysis of ultrastructral changes of nuclear membranes and chromosomes during cell division using electron microscopy
Project/Area Number |
19K16472
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
早津 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40468898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / 電子顕微鏡 / Array tomography法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、体細胞分裂中に生じる核膜、染色質および染色体の微細構造変化について電子顕微鏡を主な研究ツールとして三次元的に解析することで細胞分裂機構を微細構造学的に明らかにすることを目指す。 これまでに走査電子顕微鏡を用いたArray tomography法で培養細胞の体細胞分裂前期から前中期の染色体の三次元再構築像を作製し、微細構造を三次元的に明らかにすることができた。また、核膜を裏打ちする蛋白質として知られるラミンに対する免疫電子顕微鏡法で分裂期における核膜の局在を明らかにすることを試みた。しかし、分裂期における核膜の有無を明らかにする結果を得ることはできなかった。 本年度は、核膜の動態を明らかにするための手法を再検討し、ラミンに赤色蛍光蛋白質が発現するHela細胞を作成、共焦点レーザー顕微鏡を用いたライブセルイメージングで経時的に観察、分裂期の細胞のラミンの有無を確認、走査顕微鏡を用いたArray tomography法による分裂期の同定を行なった。また、Array tomography法にて作製する連続切片の一部を透過電子顕微鏡で観察することで細胞内の微細構造の解析も行なった。共焦点レーザー顕微鏡による観察と染色体の三次元的解析では、Hela細胞の体細胞分裂中期において細胞の赤道面に集まる染色体の周りにはラミンは観察されないことを明らかにした。さらに透過電子顕微鏡による観察では、この細胞の染色体の周囲には小胞体に類似した構造が複数層存在しており、これらの扁平な袋状構造のうち、染色体に近い構造は、表面にリボソームが付着する小胞体と異なり、表面が滑らかであり、核膜に類似した構造であることを明らかにした。この染色体周囲の核膜様構造の存在は、一般的に消失すると考えられている細胞分裂中期において核膜が完全に消失することなく、残存している可能性を示すと考えられる。
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