2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K16475
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北山 美登里 (吉田) 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20636427)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔乾燥症 / 唾液腺 / 細胞間接着分子 / Nectin-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔乾燥症は難治性疾患の一つであり、疾患特異的な治療法は開発されていない。投与薬剤の副作用、口呼吸、シェーグレン症候群、放射腺治療の後遺症、老化、糖尿病、更年期障害などが原因とされ、誰にでも起こりうる身近な疾患である。唾液分泌機能の低下は様々な臨床症状を引き起こし著しいQOLの低下を招く。対処療法が治療の主体であり、唾液分泌の回復や唾液腺の再生に関する研究は重要である。これまでに細胞間接着分子の欠損マウスで唾液腺の形成異常が報告されているがその発症メカニズムは解明されていない。
本年度は野生型マウス、ネクチン1欠損マウス、ネクチン2欠損マウスの顎下腺、舌下腺における細胞間接着タンパク質の発現について詳細な観察を行った。野生型マウスでは細胞接着分子であるネクチン1, 2, 3、アファディン、E-カドヘリン、ZO-1などの細胞間接着分子の発現が観察された。ネクチン1欠損マウスではネクチン1だけでなくネクチン3のシグナルが消失していたが、その他の細胞間接着分子のシグナルには大きな変化が認められなかった。また、ネクチン2欠損マウスではネクチン2の発現が消失しているのにも関わらず、ネクチン1, 3のシグナルの発現は野生型マウスと大きな差異を認めず顎下腺、舌下腺ともに形態異常も認めなかった。このことから、ネクチン1, 3が唾液腺の形態形成に関与してる可能性が強く示唆されるため、今後はこの分子に着目して、発生、維持に関与するシグナル分子の制御機構の解析を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に比べ、臨床が忙しかったこと、マウスの出産がうまくいかず、実験が思うように進んでおらず、今年度は野生型マウスとネクチン1, 3欠損マウスの顎下腺、舌下腺における細胞間接着分子の解析やアミラーゼの減少を確認するにとどまっている。今後は構造異常以外の違いについても詳細に観察していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
FGF欠損マウスでの表現型とネクチン1欠損マウスの表現型に類似点があることが見出されたため、今後はネクチンとFGF受容体との関係性について引き続き解析する予定である。顎下腺だけでなく、その他の外分泌系であるハーダー腺にもネクチン1欠損マウスで異常が認められたため、それらの異常がどのように引き起こされているのかシグナル伝達に着目して解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該年度では研究成果の発表を見送ったためそれらの経費を繰越すこととした。 (使用計画) 動物実験のみならず細胞生物関連の研究を追加するためそのための経費として使用する。
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