2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗酸化ストレス経路FOXO1-xCT系を標的としたリンパ管新生の制御
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19K16481
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
新美 健太 香川県立保健医療大学, 教養部, 助教 (40807509)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リンパ管 / 転写因子 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はリンパ管内皮細胞に多く発現している転写因子であるFOXO1がリンパ管内皮細胞の酸化ストレス耐性獲得に果たす役割を解析するものである。 生体内においてリンパ管内皮細胞は多量の脂肪酸に曝露されており、過酸化脂質の蓄積を生じているのではないかと予想される。したがって本年度は過酸化脂質に起因した酸化ストレス応答におけるFOXO1の役割を検討した。まずFOXO1をノックダウンすることで過酸化脂質発生に起因する細胞死がどのように影響されるかを検討した。過酸化脂質を発生させる化合物としてはアミノ酸アンチポーターxCTに対するインヒビターであるErastinとグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)インヒビターであるRSL3を使用した。興味深いことにリンパ管内皮細胞は高濃度のErastinに対しても抵抗性があり、FOXO1をノックダウンしても同様であった。一方でRSL3はリンパ管内皮細胞に対して脂質過酸化を伴う細胞死を誘導することができ、かつFOXO1をノックダウンすることでより低濃度のRSL3でも細胞死をもたらすことができた。 さらに昨年度までにリンパ管内皮細胞においてFOXO1がxCTの発現制御をしていることを発見したことを踏まえて、本年度はその制御がリンパ管内皮細胞以外の内皮細胞や内皮細胞以外の細胞種でも同様であるかについても検討を行った。結果、リンパ管内皮細胞以外の細胞種においてはFOXO1をノックダウンしてもxCTの発現量の変化は小さく、FOXO1によるxCTの発現制御がリンパ管内皮細胞特異的であることが示唆された。 以上の研究成果は【リンパ管内皮細胞において過酸化脂質の蓄積を抑制する】というFOXO1の新たな機能を見出したものであり、リンパ管の生理機能を理解するうえで重要な研究成果であると言える。
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