2020 Fiscal Year Research-status Report
プロバイオティクス由来抗腫瘍活性物質を応用した新規膵癌治療薬開発の基盤研究
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19K16484
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小西 弘晃 旭川医科大学, 医学部, 特任助教 (30777181)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / 膵癌 / 生理活性物質 / 細胞シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
プロバイオティクスはヒトに食経験があり、基礎研究で抗癌作用を発揮することが示唆されていることから安全性の高い癌治療への応用が期待されてきた。しかし、生菌体を用いた場合、菌の培養条件の差や宿主の腸内細菌叢の個体差などのため、臨床的な抗癌作用は証明されていない。その解決案として、プロバイオティクス由来抗腫瘍物質を同定し十分量を投与することで、安定した抗癌作用が得られると考えた。これによってプロバイオティクスの抗腫瘍メカニズムが明らかになるとともに安定な抗腫瘍薬を開発することができる。これまで大腸癌に抗腫瘍効果がある菌由来抗腫瘍物質が複数同定されているが、膵癌などの難治性癌 に効果がある菌由来抗腫瘍物質は同定されていない。申請者は麹菌の培養上清に膵癌に対して抗腫瘍作用を持つ分子が含まれていることを突き止めた。この成果に基づき、膵癌に対する菌由来抗腫瘍活物質を同定し、菌由来物質を介した新しい癌制御メカニズムを解明することで、新規膵癌治療薬開発へ向けた基盤的成果を得るための研究を推進している。これまでに、膵癌細胞に対して麹菌A. oryzaeの培養上清が真菌類2種、乳酸菌類5種、ビフィズス菌類4種と比較して極めて強い抗腫瘍効果を発揮することを明らかにした。この麹菌の培養上清をHPLCにより分離し、NMR解析および高分解能LC-MS解析を行うことで抗腫瘍分子Heptelidic acidを同定した。Heptelidic acidは腸間膜を通過して膵臓に到達し、膵癌細胞のp38MAPKシグナルを活性化することで膵癌細胞にアポトーシスを誘導することで抗腫瘍効果を発揮することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
膵癌細胞に抗腫瘍効果を発揮するプロバイオティクス由来分子を同定し、マウス癌モデルでの抗腫瘍効果を確認することができた。また、その作用メカニズムを明らかにすることができた(論文投稿中)。このほかにも、新たな新規抗腫瘍分子の同定試験も着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
プロバイオティクスが産生する抗腫瘍分子の複数種類の癌細胞に対する抗腫瘍効果を確認する。また、プロバイオティクス由来抗腫瘍分子の腸管免疫に対する影響を評価する。
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Causes of Carryover |
研究試薬の納品が遅れたため
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