2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of interaction between intraocular pressure-derived mechano-stress and internal calcium kinetics in ciliary muscles
Project/Area Number |
19K16485
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山口 陽平 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40831912)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | メカノバイオロジー / 眼内平滑筋 / 圧力刺激 / カルシウムハンドリング / 機械受容チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
眼圧というメカニカルストレスは毛様体筋の収縮・弛緩において重要な役割を果たすカルシウムハンドリングを修飾している。しかし、眼圧由来のメカニカルストレスが毛様体筋のカルシムハンドリングを変化させるメカニズムは、これまで全く研究がなされておらず未解明である。そこで、本研究計画では圧力刺激が毛様体筋細胞のカルシムハンドリングをどのように制御しているかを明らかにすることを目指している。当初の研究計画では、ガス圧による圧力刺激により毛様体筋細胞で圧誘発性カルシウムオシレーションが誘発されることに着目し、そのメカニズム解明を行おうとした。しかし、研究過程でガス圧による刺激は溶液内のガス分圧やpHなどを変えてしまい、圧力による現象なのかその他の要因による現象なのかを見分けられないことが分かった。そこで、静水圧による圧力刺激下にリアルタイムで細胞動態と細胞内カルシウム動態を観察できる2種類の圧力チャンバーを共同研究者と共に開発した。その圧力チャンバーを用いて毛様体筋細胞に静水圧を負荷したところ、圧誘発性の細胞内カルシウム増加現象の観測に成功した。さらに、新規開発した圧力チャンバーは細胞動態及びカルシウム動態の測定中に薬剤投与を行うことができる。そのため、今後は毛様体筋細胞にカルシウムの持続流入を引き起こすカルバコールを投与し、細胞内カルシウムの持続的上昇を生じさせ、そのカルシウム動態への静水圧の影響を調べる予定である。また、圧誘発性のカルシウム増加現象に圧力センサーであるTRPC3とTRPC6がどのように関係しているかを薬剤およびsiRNAでの阻害実験より詳細に調べる予定である。よって、静水圧を用いた圧力刺激による眼内平滑筋のカルシウムハンドリングの修飾メカニズムを解き明かすことを目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究過程でガス圧刺激は溶液内のガス分圧やpHなどを変えてしまうことが分かった。そのため、正確な圧力依存性の現象を捉えるべく、細胞に静水圧を用いて圧力負荷できる新たな圧力チャンバーを開発する必要があった。そこで共同研究者と開発を行ったが、その開発に予想以上に時間がかかってしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に新たに開発した静水圧による圧力負荷システムを用いて、毛様体筋細胞で認める圧誘発性カルシウム増加現象のカルシウム流入経路の実体を詳細に調べる。さらに、高圧力下の生きた細胞内で起きている現象を多角的視点から解き明かしていくため、毛様体筋細胞だけでなく、成体の心筋細胞を用いた計測を実施していく。
|
Causes of Carryover |
研究計画において、当初購入を予定していたガス圧力細胞刺激装置では静水圧負荷が行えないため、共同研究による静水圧負荷圧力チャンバー開発に方針を切り替えた。そのため、加圧システム構築への費用が抑えられた。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、生理学会等の学会が誌上またはオンライン開催に移行したため、旅費が不要となった。これらの理由および次年度の計測実施を加速させるため、次年度に使用額を繰り越す。
|
Remarks |
研究成果のアウトリーチ活動として、旭川ウェルビーイング・コンソーシアム開催する市民向けイベントでの参加・発表。
|
Research Products
(8 results)