2021 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム内腔のイオン動態に着目した神経型Gaucher病の病態研究
Project/Area Number |
19K16489
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳留 健太郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80805002)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | gaucher病 / パーキンソン症状 / リソソーム / pH / 塩化物イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、蛍光蛋白質をリソソーム内に導入したマウス神経芽細胞を用い、Gaucher病モデルを作成の作成と本細胞のリソソーム内pHおよびCl-を測定した。Gaucher病モデル細胞は、原因酵素であるβ-グルコセレブロシダーゼに対する阻害剤conduritol-β-epoxide(CBE)を8日間曝露させることにより作成した。このモデル細胞におけるリソソーム内pHを測定した結果、対照と比較して有意なpHの上昇(pH6程度)を示した。これは既存のリソソーム内pHインディケーターを用いた結果とも一致していた。続いて、このモデル細胞のリソソーム内Cl-濃度を測定した結果、対照と比較して有意な上昇を示した。しかし、既存のリソソーム内Cl-インディケーターが存在しないため、細胞内Cl-インディケーターであるMQAEを使用し、リソソーム内Cl-濃度を確認した結果、リソソーム内Cl-が対照と比較して上昇しているのを確認した。 以上の結果より、本研究で使用したCBEモデルにおいて、リソソーム内Cl-濃度はpH同様上昇することが示された。しかし、申請者はこのモデルのpHの上昇によって共役イオンであるCl-の減少を示すことを予想していた。このような報告が今までにないため、詳細については不明な点が多い。この現象は、本モデルのpH上昇に対して、Cl-の代償的なリソソーム内流入によるリソソーム内pHを低下させる反応が起こっている可能性があると考えられる。今後の検討課題として、CBE処置を短期間あるいは長期間曝露させた際に、リソソーム内pHおよびCl-がどのように変動するかを捉えることで、どのタイミングでリソソーム内pHやCl-が動くのかを明らかとすることが必要であると考えられる。
|