2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト心房筋に対する抗炎症性サイトカインIL-10の直接的及び間接的効果
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19K16492
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
近藤 秀和 大分大学, 医学部, 助教 (90724170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NADPH |
Outline of Annual Research Achievements |
前回までにIL-10によるスーパーオキサイド減少効果とNOSカップリングの改善効果を右心房心筋及びヒト心筋細胞にて確認できた。それはERK及びp38MAPKシグナリングの活性化を抑制することで効果を発揮していた。そのため,さらなる機序を追究するために抑制されるスーパーオキサイドはNADPH由来なのかミトコンドリア由来なのかを確認した。NADPHによる刺激を行い調査してみたところ,NADPH由来のスーパーオキサイドを有意に抑制していた。超遠心法により細胞膜からのタンパクを抽出しウェスタンブロット法で確認したところ、Rac-1及びp47phoxの膜移行も抑制されていた。ERK inhibitorとp38MAPK inhibitorでどちらのシグナリングが関与しているか確認したところ,p38MAPKシグナリング抑制がRac-1とp47phoxの膜移行を抑制しNADPH由来のスーパーオキサイドを抑制していることが判明した。さらに,IL-10によるテトラヒドロビオプテリンが上昇しており,こちらはNOSカップリング改善の機序と考えられた。IL-10のオフターゲット効果であることを否定するために培養心筋細胞のIL-10レセプターをsiRNAでノックダウンしIL-10負荷実験を行おうとしたが,siRNAによるノックダウン効果は50-60%と不十分であり,siRNA実験系のさらなる洗練化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前と変化なくヒト組織が順調に採取できている。ヒト心筋細胞のセルラインも使用できており,機序に迫る実験が順調に進行できている。しかしヒト心外膜脂肪への負荷実験は,実験系の確立が遅れており2021年度より開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は心外膜脂肪へのIL-10負荷実験を行い,脂肪の遺伝子発現プロファイルに変化を来たすか,マイクロアレイもしくは主要遺伝子をqPCRで確認する。最終的にIL-10を負荷した心外膜脂肪を心筋細胞と共培養することで,心筋細胞保護作用を発揮するか確認を行う予定である。
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