2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集ハイスループットノックアウトによる腫瘍溶解性ウイルスの細胞傷害性の解明
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19K16500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 将平 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (20758536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウイルス療法 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遺伝子を自由に改変可能なゲノム編集技術により様々な遺伝子を欠失させた癌細胞集団を作製し、その癌細胞集団を用いて、腫瘍溶解性ウイルスであるコクサッキーウイルスB群3型(CVB3)の細胞傷害性及び抗腫瘍免疫誘導に必要な遺伝子を同定する。CVB3の癌細胞殺傷メカニズムを詳細に理解し、ウイルス感染に必要な受容体の発現のみならず、CVB3の殺細胞効果や抗腫瘍免疫誘導に必要な遺伝子を把握することで、治療を受ける患者の適応基準を科学的に設定することが可能になる。2021年度は、昨年度樹立したwhole genome knockout library cellsを用いて、CVB3を均等に感染させゲノム抽出を行った。同時期に、ノックアウトしていないNCI-H1299細胞に上記と同様のウイルス量を感染させ、ゲノム抽出を行った。その後、次世代シークエンスによりレンチウイルスに組み込まれたバーコード配列を識別し、解析によりウイルスの細胞傷害性に関連がある遺伝子群を同定した。本研究によりCVB3で報告のない遺伝子が多く見つかっており、さらにこれまでに報告のないシグナル経路がウイルス増殖に関連している可能性が示唆され、今後のウイルス療法開発に重要な鍵となることが予想される。また、本研究で同定された遺伝子が他のエンテロウイルスに関与しているかどうか解析することにより、他のエンテロウイルスに対する治療薬の開発に繋がる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、コロナ禍によるプラスチック製品の納品遅延や受託サービスの混雑の影響が大きく、数ヶ月遅延が生じた。特に、本研究の重要な部分である次世代シークエンスによる解析に多くの時間を必要とした。 本研究の最重要課題であったウイルス増殖に関連する遺伝子の同定は完了しているため、全体としてやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、次世代シークエンスの結果により同定した遺伝子を用いて、ウイルス増殖メカニズムを詳細に解析する。その後、「ゲノム編集ハイスループットノックアウトライブラリーによるCVB3の抗腫瘍免疫誘導に関与する遺伝子の同定」を進め、同定遺伝子の個別ノックアウト細胞を用いてライブラリーで観察されたウイルスの抗腫瘍免疫誘導への関与を再度確認する。
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Causes of Carryover |
(理由) 2021年度は、コロナ禍の影響を大きく受け、ライブラリーの解析に多くの時間を有したため、計画に遅延が生じた。当該年度に行うはずだった研究及び解析を繰り越すため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 2022年度は解析後の研究・実験を大規模に実施するため、その経費に充てる予定である。
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