2020 Fiscal Year Research-status Report
プロスタグランジンE3による慢性炎症の制御機構の解明
Project/Area Number |
19K16510
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
石渡 遼 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (30805916)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | プロスタグランジンE2 / プロスタグランジンE3 / 血管平滑筋細胞 / アテローム性動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
高脂血症モデルマウスとして汎用されているLDLR欠損マウスに対してPGE3が治療効果を示すか検討を行った. 高脂血症を発症するLDLR欠損マウス(8週齢のオス)に高脂肪食を12週間自由に摂食させ, アテローム性動脈硬化症を誘発した. 高脂肪食の開始と共に, PGE3の投与を開始した. 一回の投与量は20 μg/kg とし, 2日毎に100 μLの生理食塩水に希釈し腹腔内投与を行った. 対象群として, 溶媒を同量投与する群を設けた.PGE3投与群とVehicle投与群で体重変化に差は認めなかった. Oil Red O染色によるプラーク形成の評価では, 高脂肪食負荷群で普通食群と比較して顕著に促進されていたが,PGE3投与群ではプラーク形成がさらに促進される傾向があった. 上の結果から, PGE3にはむしろ動脈硬化を促進する作用があることが推察されたため, 慢性炎症を仲介する主要な経路であるインフラマソーム経路について解析した.ヒト大動脈平滑筋細胞の培養系において, LPS刺激により炎症性シグナルの亢進に対するPGE2およびPGE3の作用を検討した. pro IL-1β 発現は増加したが, NLRP3発現は増加せず, pro caspase-1およびpro IL-1βの切断は認められなかった. また, PGE2およびPGE3にもNLRP3インフラマソーム経路を活性化する作用は認められず, LPSによるpro IL-1β発現の亢進を増強する作用も認められなかった.一方, IL-6の発現については, PGE2およびPGE3の単体刺激によってLPSと同程度の発現促進作用が見られた. さらに, PGE2およびPGE3はLPSによるIL-6の発現促進を相乗的に増加させた. これらの結果から, PGE3には血管平滑筋細胞における炎症促進作用があることが推察される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緊急事態宣言下において, 一部実験動物の購入が制限されていたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
アテローム性動脈硬化に対するPGE3の効果の検討実験を検体数を増やして実施し, PGE3の効果の濃度依存性を検討していく. また, PGE3が炎症性サイトカインであるIL-6の発現を亢進する機序について, シグナル伝達を担う受容体と細胞内のセカンドメッセンジャ―の側面から解析を行う.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で, 参加を予定していた学会の参加を見合わせた. また, 年度末に予定していた試薬の購入を見合わせた.
|
Research Products
(2 results)