2019 Fiscal Year Research-status Report
転写因子GABPによる多能性幹細胞特有の細胞周期制御
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19K16514
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上田 篤 金沢大学, 医学系, 助教 (90728560)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GABP / ES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)といった多能性幹細胞を未分化状 態のまま維持するためには、分化の起点になると報告されている細胞周期のG1期を素早く通過することが重要である。申請者はES細胞における転写因子GABPの機能解析を行う中で、GABPがp53のタンパク質レベルでの抑制を行い、多能性幹細胞特有の早い細胞周期を促進している可能性を見出した。本研究では、ES細胞におけるGABPの構成を含めた詳細な機能解析を行い、GABPがいかにして多能性幹細胞の細胞周期を制御し、その維持に貢献するかを解明する。 本年度は、GABPのDNA結合を担うGABPαのノックアウトによる細胞死がp53の蓄積だけによるものなのかを解析した。GABPαとp53のダブルノックアウトES細胞を作製した結果、p53が欠失した条件でもGABPαをノックアウトすると細胞が死ぬことが明らかとなった。また、GABPの転写活性を担うとされるGABPβ1の機能解析を行った。GABPβ1のノックアウトES細胞を作製した結果、GABPαノックアウトES細胞のような細胞死は観察されず、細胞の増殖能力が低下することが明らかとなった。マイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析の結果、GABPαノックアウトES細胞、GABPα/p53ダブルノックアウトES細胞、GABPβ1ノックアウトES細胞において遺伝子発現の様式が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画であった「ES細胞におけるGABPα欠損の表現型がp53だけによるものなのかを明らかにする」と「ES細胞におけるGABPβのノックアウト解析」において、それぞれ細胞株を作製した。また、それらの細胞株を用い、マイクロアレイによるトランスクリプトーム解析を行い、どのような遺伝子群の発現量が変化するのかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ES細胞で発現が高いGABPβ1のノックアウトで細胞が死ななかったので、GABPβ2に着目した解析を行う。当初の計画通り、「GABPによるp53の制御機構の解明」および「GABPによるES細胞の未分化状態維持機構の解明」を目指す。
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Causes of Carryover |
キャンペーン品の購入などで物品費に差額が生じた。本年度の研究結果からGABPβ2に着目した新たな課題が生まれたので、その解析に使用する。
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