2019 Fiscal Year Research-status Report
結節性硬化症におけるTSC1/2の新規変異同定とその機能解析
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19K16528
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
研 澄仁 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教 (40709391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝子検査 / 結節性硬化症 / TSC / mTORシグナル / スプライシング異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、(1)これまでの遺伝子検査の改良と(2)見つかった変異の機能解析を行うためのプラットフォームの構築を行った。 (1) 従来の遺伝子検査では、検査範囲がExonとその近傍のIntron領域に限定されていたため、大きな構造異常やIntron深部の変異とそれに伴うスプライシング異常などを見逃す可能性が大きかった。そこで、我々はLong-PCRにより遺伝子領域全体を増幅し、次世代シーケンサー(NGS)によりTSC1/2全遺伝子領域の網羅的解析を行った。またスプライシング異常については、TSC1/2のmRNAから全長cDNAを合成し、TSC1/2の全長cDNAのみをLong-PCRにより増幅、それをNGSにより確認した。このLong-PCR/NGSを用いた新規検査方法により、従来は見つけることができなかった大きな構造異常やスプライシング異常などを含め、2019年度に行った約30家系50検体の検査から約10件の新規変異を同定することができた。本検査方法ならびに見つかった新規変異について現在論文投稿中である。 (2)TSCはmTORシグナルの制御因子であり、TSC患者ではTSCの異常からmTORシグナルが異常に活性化し、病気の原因となることが知られている。そこで、細胞株を用いTSC1/2の下流のmTORシグナル経路の活性化をS6K1のリン酸化等を指標に観察するモデルを構築した。今後新たに見つかったミスセンス変異を持つTSC遺伝子をこの細胞株で過剰発現させ、mTORシグナルへの影響を観察する予定である。一方スプライシング異常に関しては、iPS細胞を用いて検討を行う予定であり、すでに血液からのiPS細胞樹立システムを確立した。今後患者で見つかった変異を導入し、実際にその変異によりスプライシング異常が起きるかどうかについて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検査技術の改良については、初年度までにすべて想定以上のレベルまで改良できた。さらにその新規検査法により実際これまでには見つけられなかったであろう新規変異をいくつも同定することができ、現在これらを論文に投稿中である。 また見つかった変異の機能解析モデルの構築についても、iPS細胞の樹立ならびに培養が上手く確立することができ、今後より深い解析が可能になるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は見つかった新規変異の機能解析に重点を置き、研究を進める予定である。 研究計画にのっとり、HeLa細胞等の細胞株に患者で見つかったミスセンス変異を持つTSC1/2遺伝子を過剰発現させ、その機能を解析する。 一方iPS細胞の樹立・培養が確立できたことから、次に実際に患者で見つかった変異をcrispr/cas9を用いiPS細胞に導入するシステムを構築する予定である。また同時に患者からiPS細胞を樹立し、細胞を随時ストックする予定である。iPS細胞への変異導入が成功したのち、将来的には患者由来のiPS細胞の変異を治療し、細胞機能への影響を観察するためである。
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Research Products
(1 results)