2019 Fiscal Year Research-status Report
TGF-βシグナルに反応するFOPフレア・アップ期のメカニズム解明及び候補薬探索
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19K16540
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
趙 成珠 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (50778678)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進行性骨化性線維異形成症 / FOP / フレア・アップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は希少疾患であるFOP病態初期の熱感と疼痛を伴う腫脹が生じるフレア・アップ現象に着目し、FOP患者由来iPS細胞 (FOP-iPSC) を用いて、病態メカニズム解明および候補治療薬探索を目指す。具体はフレア・アップ部位の主な細胞成分と考えられる間葉系幹細胞 (MSC) の過剰増殖・動員現象に着目し、FOP-iPSCから分化誘導されたMSCを用いることで、初期病態のin vitro再現系を構築する。一方、MSCの増殖・動員に は、TGF-βシグナルが重要であるため、構築した再現系を用いて、FOP細胞が特異的にTGF-βシグナルに反応する分子メカニズムの解明及び治療候補薬の探索を行う。 現在までFOP-iPS細胞及び変異遺伝子を修復した対照細胞から作製したMSC (FOP-iMSC及びresFOP-iMSC) の増殖速度を指標として、FOP初期病態に起こる線維性細胞増加のin vitro評価系を構築した。また、TGF-βの影響でFOP-iMSCの増殖能が高まる可能性を考慮し、FOP-iMSCでのみTGF-βシグナルを活性化するリガンドを探索した。TGF-β下流のSmad2/3シグナルを検出するルシフェラーゼ・レポーター実験系より、リガンドZが同定された。リガンドZが構築した評価系において、FOP-iMSCの増殖能を特異的に促進した。さらに、ドキシサイクリン誘導性変異型ACVR1を発現するマウス(FOP モデルマウス)に、リガンドZを単独投与すると、フレア・アップのような現象が観察された。カルディオトキシン注射による筋肉を破壊する刺激と同時にリガンドZを加えると、異所性骨化の形成が促進されることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は概ね予定通りFOP初期病態メカニズム解明のin vitro実験系を構築した。FOP-iMSCでのみTGF-βシグナルを活性化するリガンドZの同定・in vitro/in vivo解析より、FOP病態初期に起こるフレア・アップに大きく寄与する可能性を示した。 全体的には順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り 1. FOPモデルマウスを用いたフレア・アップ組織のTGF-βシグナルの解明:ドキシサイクリン誘導性変異型 ACVR1 を発現するマウス (FOP モデルマウス) に、リガンドZおよびカルディオトキシン注射による筋肉を破壊する刺激を加え、フレア・アップを誘導して、フレア・アップ組織における TGF -βシグナリングの局在観察、リガンドZと線維性細胞増殖、フレア・アップ関連性の確認を行う。2. またマウスに刺激を加えると同時に、TGF-β / リガンドZ の阻害剤を投与することで、フレア・アップに対する抑制効果を確認する。3. フレア・アップ現象を抑制する候補治療薬の探索: 構築したFOP初期病態再現システムを用いて、FOP-iMSCの増殖能を低分子化合物ラブラりーから、フレア・アップを抑える候補治療 薬のスクリーニングを行う。さらに、スクリーニングしてきた治療薬候補化合物の濃度依存活性及び安全性の検証を行う上で、FOPモデルマウ スに投与し、フレア・ アップの抑制効果をin vivoで検証する。
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Causes of Carryover |
(未使用額が発生した状況) 2019年度に、FOPの線維性細胞再現系に阻害薬をかけて、その結果を基にウエスタンブロットを行う予定であったが、阻害薬の効果低かったため、計画を変更し阻害薬の種類・メカニズムを再検討こととしたため、未使用額が生じた。 (次年度における未使用額の使途内容) このため、抗体購入してウエスタンブロットを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てること としたい。
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Research Products
(2 results)