2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト甲状腺オルガノイドの樹立と甲状腺癌の発生・悪性化機構の解明
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19K16544
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 慶幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (00649949)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺 / オルガノイド / 培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺濾胞細胞はターンオーバーが低く、遺伝子導入が可能かつ繰り返し継代可能で長期培養できる正常甲状腺培養方法がないことが、甲状腺発癌メカニズム等の解明の障壁となっていた。近年、腸において腸管を模倣した器官様構造体(オルガノイド)を作成する技術が確立された。オルガノイド培養法は幹細胞を維持しながらそこから分化した細胞も含めて器官様構造体を形成する。申請者はマウス甲状腺オルガノイドを樹立し、それに遺伝子操作を加えることで癌化することができた。本研究課題ではヒト甲状腺オルガノイドを樹立し、それらを用いて甲状腺発癌メカニズムを解明する。また、橋渡し研究として甲状腺腫瘍からもオルガノイドを作成し、薬剤スクリーニングの有用性等を検証する。 1年目の成果としてはヒト甲状腺オルガノイド樹立に成功したことが挙げられる。樹立したヒト甲状腺オルガノイドをもとにヒトにおける各試薬の至適濃度や増殖能を高める他の試薬がないかを検証し、ヒト正常甲状腺オルガノイドにおける至適培養液も確立することができた。また、ヒトの各甲状腺腫瘍での甲状腺オルガノイドの作成にも着手しており、一部の組織型の腫瘍は提供を得られ、甲状腺腫瘍でもオルガノイド形成されることが確認できた。これらの成果が評価され、海外学会に招待をうけて招待講演をおこなったり、国内ではこの成果に対して賞をいただいた。 海外の共同研究が始まったり、国内の協力施設も増え、順調に進んでいたが、2年目に関してはCOVID19の影響でヒト生検体を施設間で輸送することが困難となっため、検体供給が途絶え、研究が滞った。3年目に関しては検体供給の復旧の目途が立たず研究を途中で中止とした。
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