2019 Fiscal Year Research-status Report
血小板由来マイクロパーティクルの質的・量的な変動の生理的意義の解明とその応用
Project/Area Number |
19K16545
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
安藤 祐介 星薬科大学, 薬学部, ポストドクター (10805881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / マイクロパーティクル / マクロファージ / 病態バイオマーカー / エクソソーム / 免疫 / 血小板 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体恒常性の維持に重要な役割を果たすマクロファージの形質変化を指標に、マイクロパーティクルやエクソソームなどを含む細胞外小胞(EVs)の質的・量的変動の生理的意義を見出すことを目的としている。常法に従いマクロファージの培養や分化誘導をする際には、FBSなどのEVsを多量に含む血清が必要となることから、2019年度は、まず、EVsの解析に適したマクロファージの調製、すなわちEVs不含条件下でのマクロファージ分化誘導法の検討を行った。その結果、HL-1培地(Lonza)をベースとしたEVs不含培地を用いることで、効率的に骨髄由来マクロファージへ分化が可能であった。また、このマクロファージは、これまでに明らかにした血小板による形質変化(NOや炎症性サイトカインなどの炎症性メディエーター産生の抑制など)を再現しており、また、正常なマクロファージマーカーの発現とM1/M2マクロファージへの分化が誘導可能なことを確認した。 次に、このマクロファージに対するEVsの影響を解析した。BALB/cマウスのACD加血より血漿を回収後、exoEasyを用いてEVsを調製し、構築したマクロファージの培養系に加えた。EVs存在下での24時間の培養後、Clariom Sを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。コントロールマクロファージと比較し、遺伝子発現について3倍以上変化が認められたものを抽出したところ、55個の発現増加遺伝子ならびに211個の発現低下遺伝子を見出した。次いで、55個の発現増加遺伝子に対して、RT-qPCRを用いた検証ならびにウエスタンブロット法によるタンパク質レベルでの確認を行ったところ、マクロファージの恒常性維持に関与し得る複数のタンパク質がEVsにより顕著に発現誘導されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、申請者が有するマクロファージ機能の修飾作用を指標にした評価系を用いて実験を進めていく予定であり、これまでの先行研究として、ASF培地をベースとした培地を用いてマクロファージの培養系の構築、ならびにEVsのマクロファージへの影響を解析してきた。しかしながら、ASF培地が本年度始めに販売終了となってしまったことから、代替品を選定し、これまでの実験データとの整合性を確保するために、研究計画と比べて3ヶ月ほど進行が遅れた。この問題は、HL-1培地を用いることで既に解決済みであり、これまでの研究結果との整合性も確保済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果より、マクロファージの恒常性維持に関わる複数のタンパク質が、EVsにより顕著に誘導されることが明らかになった。これらの結果は、EVsを多量に含む生体内において、それらタンパク質の発現がEVsにより常に正に制御されていることを示唆しており、EVsの質的・量的変動の変動は、それらタンパク質の発現変動を介してマクロファージの異常と病態形成を司ることが想定される。 現在、研究計画に従い、病態モデルマウス(血小板減少症モデルマウス、NASHモデルマウス、自己免疫疾患モデルマウスなど)の作製を進めており、本年度に見出したEVsにより誘導されるタンパク質の発現変動を指標に、病態時におけるEVsの質的・量的変動の生理的意義解明を進めている。また、上記タンパク質の発現誘導に寄与する活性本体の同定も進めていき、本年度に着目したEVsにより発現増加するもののみならず、減少する遺伝子についても同様に解析することにより、新規病態バイオマーカーとしてのEVsの利用基盤を構築することが可能であると考えられる。
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[Presentation] 喘息モデルマウスにおけるPACAP誘発気管支平滑筋弛緩反応減弱をもたらす因子の探索2020
Author(s)
野村 麻友, 安藤 祐介, 山下 道生, 増山 佑真, 上田 千裕, 神野 奈緒子, 平林 敬浩, 竹ノ谷 文子, 酒井 寛泰, 亀井 淳三, 塩田 清二, 千葉 義彦
Organizer
日本薬学会第140年会(京都)
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[Presentation] 喘息モデルマウスの気道局所におけるPACAP含量の変化2020
Author(s)
増山 佑真, 安藤 祐介, 山下 道生, 野村 麻友, 上田 千裕, 神野 奈緒子, 平林 敬浩, 竹ノ谷 文子, 酒井 寛泰, 亀井 淳三, 塩田 清二, 千葉 義彦
Organizer
日本薬学会第140年会(京都)
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