2020 Fiscal Year Research-status Report
血小板由来マイクロパーティクルの質的・量的な変動の生理的意義の解明とその応用
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19K16545
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
安藤 祐介 城西大学, 薬学部, 助教 (10805881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / マイクロパーティクル / マクロファージ / 病態バイオマーカー / エクソソーム / 免疫 / 血小板 / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体恒常性の維持に重要な役割を果たすマクロファージの形質変化を指標に、マイクロパーティクルやエクソソームなどを含む細胞外小胞(EVs)の質的・量的変動の生理的意義を見出すことを目的としている。2020年度は、2019年度に得られた結果である、EVsにより発現が制御されるマクロファージの恒常性維持に関与し得る複数のタンパク質と、病態形成との関連性について検討した。 生体内においてEVsと相互作用しうるマクロファージとして、肝臓のクッパー細胞を想定し、病態モデルマウスとしてNASHモデルマウスにおけるEVsを解析した。NASHモデルマウスは、コリン欠乏メチオニン減量高脂肪食飼料であるCDAHFDをBALB/cマウスに6週間給餌させることで作製し、肝重や血清中の肝障害マーカーの測定、肝臓の線維化マーカーの発現解析、Masson's trichrome染色などによりNASHの発現を確認した。その後、同NASHモデルマウスの血漿よりEVsを調製し、マクロファージの培養系に加え24時間の培養後、Clariom Sを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、コントロールEVsを加えたマクロファージと比較し、遺伝子発現について2倍以上変化が認められたものを抽出したところ、NASHモデルマウス由来EVsを加えたマクロファージでは、65個の遺伝子発現が増加し、31個の遺伝子発現が減少していた。一方で、TaqMan miRNA アッセイを用いて、EVsに含まれるmiRNAの網羅的解析を行った。その結果、コントロールEVsと比較し、遺伝子発現について10倍以上変化が認められたものを抽出したところ、NASHモデルマウス由来EVsにおける23個の発現増加miRNAと8個の発現低下miRNAを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属機関の移動については円滑に進み、本研究計画の遂行への影響は限定的であった。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言発令により、所属機関の動物実験施設が閉鎖されたこと、また、研究消耗品の輸送や供給が滞ったことなどから、研究計画に基づく遂行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本年度に得られた両網羅的解析結果を合わせ、miRNA-mRNAの発現制御ネットワーク解析を行っている。得られた結果を用いて、2019年度に見出したEVsによるマクロファージの恒常性維持についての結果や、2021年度に行う予定の血小板における解析結果を勘案することで、EVsの質的・量的な変動の生理的意義を明らかにすることが可能であると考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言発令により、所属機関の動物実験施設が閉鎖されたこと、また、研究消耗品の輸送や供給が滞ったことなどから、研究計画に基づく遂行が遅れた。それに伴い、2020年度に購入予定であった実験消耗品の一部の購入を、2021年度へと遅らせた。
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