2022 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞発症リスクの高い危険なプラーク、血栓形成能の解析
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19K16560
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
前川 和也 宮崎大学, 医学部, 助教 (30754171)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 冠動脈 / 血液凝固活性 / 低酸素 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心筋梗塞は、冠動脈硬化プラークの破綻に伴う血栓による血管閉塞で発症する。申請者らはプ ラーク内には血液凝固反応の開始因子である組織因子や線溶阻害因子が高発現しており、これらが閉塞性血栓の形成に重要であることを報告してき た。また申請者は、プラークの病理組織学的観察で血栓性因子の発現が新生血管に乏しいプラーク中心部に強くみとめられることから、プラーク内の低酸素環境 が血栓形成に促進的に作用していると推察した。本研究ではプラーク内低酸素環境に着目し、人体病理標本・培養細胞を用いて、(1)プラーク内での血栓性因 子発現に対する低酸素の関与、及び(2)低酸素がプラーク内の血栓性因子発現を促進する場合、その分子生物学的機序を明らかにすることを目的として実施した。最終年度である2022年度は、今までに収集したデータの解析と論文の原稿作成を行った。本研究により以下のことが明らかとなった。 (1)剖検症例の冠動脈のホルマリン固定後標本を用いた検討から、「不安定プラーク」では「安定プラーク」に比較して、マクロファージが多くみられ、プラーク内の組織因子発現、低酸素代用マーカーとして用いた解糖系酵素であるヘキソキナーゼ2の発現及び局在にマクロファージとの相関がみられた。 (2)培養マクロファージを用いた実験で、低酸素環境が炎症生刺激による細胞の凝固活性をさらに増大させることが明らかとなった。またその効果は、解糖代謝の阻害物質により無効化されることが明らかとなった。 以上の成果を、第44回日本血栓止血学会(2022年6月、仙台市)で発表した。
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