2019 Fiscal Year Research-status Report
Role of rho0 phenotype on acquisition of gemcitabine resistance in pancreatic ductal carcinoma
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19K16564
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
谷 里奈 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20783872)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / ゲムシタビン / 薬剤耐性 / ミトコンドリアDNA障害 / 酸化ストレス / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵管癌治療において、標準治療薬であるGemcitabine (GEM)に対する薬剤耐性は化学療法継続を難しくする一因である。本年度は、MIA-PaCa-2 (MIA-P) に低濃度GEM処理を行い、樹立したGEM耐性株 (MIA-G)について検討を行った。耐性株では既知のGEM耐性遺伝子の過剰発現は見られないが、親株に比較しTFAM発現が低下しており、ミトコンドリアDNA障害が示唆された。この2つの細胞株に対してフラックス解析を行ったところ、耐性株では親株と比較し、basal levelでの呼吸商はやや亢進していたが、最大呼吸商は低下していた。さらに、GEM処理により親株ではミトコンドリア電位の亢進とROS 産生が認められたのに対して耐性株では電位の変化や生じるROS産生は抑制されていた。ミトコンドリアDNA損傷によって酸化的リン酸化を抑制された細胞はρ0細胞と呼ばれるが、耐性株はρ0形質を有していると考えられた。GEM耐性能獲得において、GEMによるミトコンドリアDNA障害が、ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝機構の変化によるROS産生の抑制をもたらし、薬剤耐性獲得を促進したことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ρ0様形質とゲムシタビン耐性の関連を明らかにすることが出来た。研究は順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ゲムシタビンによるρ0形質獲得の機序やρ0形質を克服する方法について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度実施予定であった実験がコロナ感染症の影響により本年度にずれ込んでしまった。該当実験について着手しており、次年度使用額についてはこれに使用している。
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