2021 Fiscal Year Research-status Report
ADAM10に着目したHodgkinリンパ腫の癌微小環境解析
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19K16566
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
増田 渉 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00623464)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Hodgkinリンパ腫 / ADAM10 / 癌微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:Hodgkinリンパ腫は、Hodgkin/Reed-Sternberg細胞と呼ばれる特徴的な大型の腫瘍細胞が、多数の非腫瘍細胞を伴って増殖する悪性リンパ腫の一亜型である。 近年は、腫瘍細胞を標的とした従来の化学療法の他に、腫瘍組織を構成する非腫瘍細胞を標的とした分子標的療法や免疫チェックポイント阻害剤の研究・治療が急速に進行している。 本研究は、Hodgkinリンパ腫細胞が構築する癌微小環境の一端を分子病理学的に解明することである。そのために、Hodgkin/Reed-Sternberg細胞の生存に必須とされるNotchシグナルと、その調節分子のADAM10に着目した。ADAM10は細胞表面に発現してNotchシグナルを律速的に調節し、またHodgkin/Reed-Sternberg細胞の重要な分子であるCD30をはじめとして様々なサイトカインの分泌調整を行っていることが知られている。 方法と結果:Hodgkinリンパ腫の培養細胞株にADAM10阻害剤を投与して経時的に観察したところ、腫瘍細胞同士が固着するhomotypic cell aggregationを認めた。この細胞株から抽出したRNAマイクロアレイ解析からhomotypic cell aggregationに関連するサイトカインや細胞運動に関連する分子の発現変化を見出した。この分子を元にヒト組織の免疫組織化学的解析とHodgkinリンパ腫の患者群の臨床病理学的解析から、予後良好因子の可能性のある分子を複数個認めた。現状、これらの分子とADAM10の発現相関について解析中である。コロナウイルス感染拡大に関連して必要な試薬類の入手が時に遅延し、ヒト組織の解析が当初の計画より遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅延している理由は、主に二点ある。一つはコロナウイルス感染拡大に関連し、必要な試薬の入手が現在も時々遅延することである。研究は既にヒト組織の免疫組織化学に移行しているが、抗体と自動免疫染色装置をはじめとする試薬の購入が時に遅延し、また、病院としての診療業務を優先することがあるため、従来の計画よりも遅れている。 また、二つ目は、当研究室の他の研究とヒト組織の免疫組織化学の使用が重なり、限られたヒト組織と免疫染色装置の使用に制限があるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
Hodgkinリンパ腫の培養細胞株から抽出したRNAによるマイクロアレイ解析から、ADAM10に関連する細胞接着分子と予後因子を複数見出した。Hodgkinリンパ腫におけるこれらの分子発現について、ヒト組織の免疫組織化学から腫瘍細胞と非腫瘍細胞を含む癌微小環境における分子発現と組織像、予後を含む臨床的特徴を解析する。ヒト腫瘍組織はこれまでに埼玉医科大学総合医療センターで登録された症例を用いる。
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Causes of Carryover |
物品費と旅費の使用が計画とは大きく異なった。まず、旅費に関して、コロナウイルス感染拡大のため多くの学会が開催を中止もしくは遠隔開催となり、旅費を使用する機会がなくなった。特に、2020年10月にドイツで開催される予定であったHodgkinリンパ腫の学会が2022年に延期となり、外国旅費の使用が無くなったことが大きい。また、物品費の使用について、コロナウイルス感染拡大により研究に必要な試薬の入手が遅延し、ヒト組織を用いた免疫組織化学の解析に制限が生じたため物品を購入する機会が限られてしまった。加えて、他の研究でも同一症例のヒト組織を用いることから、免疫組織化学を慎重に行う必要性が生じ、当初の計画よりも試薬の購入が遅れた。現在もコロナウイルス感染拡大による物流遅延の影響は少なからず存在するが、使用が遅れた物品は、順次購入する予定である。
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