2019 Fiscal Year Research-status Report
希少かつ予後不良な子宮体癌の発生・進展機序の解明及び治療標的の同定
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19K16572
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉田 裕 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (70750751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / 希少がん / 診断病理学 / バイオマーカー / 初期病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、希少かつ予後不良な子宮体癌(漿液性癌、明細胞癌、癌肉腫、脱分化癌/未分化癌、神経内分泌癌、grade 3 類内膜癌、再発したgrade 1 類内膜癌)が、いかに発生し、どのような分子異常を有するかを明らかにすることである。腫瘍の体細胞遺伝子変異、mRNAの発現パターンの異常、タンパク質の発現パターンの異常を解析・統合することで、最終的に、適切な早期診断マーカーや治療標的を同定し、患者の予後改善に貢献することを目指す。具体的には、①-③の各段階を経て目的を達成することを計画している。①解析対象となる漿液性癌・癌肉腫・明細胞癌・脱分化癌/未分化癌・神経内分泌癌・Grade 3類内膜癌・再発Grade 1類内膜癌について、患者背景・臨床病期・病理形態学的特徴・術前診断での正診率・予後などの情報を取得・整理して、特徴を明らかにする。②各タイプの発生・進展過程で生じる分子病理学的異常を明らかにする。③術前生検検体での診断マーカーの有用性を検証する。当該年度は、①のステップにおける情報収集を行い、漿液性癌・癌肉腫・明細胞癌・脱分化癌/未分化癌・Grade 3類内膜腺癌・再発Grade 1類内膜腺癌について、臨床病理学的情報を収集・整理し、その中で、Grade 3類内膜腺癌の臨床病理学的特徴(病期全体及び早期病変におけるp53, ARID1A, MMR異常の意義)について論文にまとめ、現在投稿中である。脱分化癌/未分化癌の臨床画像上の特徴や、子宮体部明細胞癌の特異な臨床病理学的特徴についても、今回の情報収集により知見を得ており、論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までのところ、進捗はやや遅れている。症例の集積と臨床病理学的情報の収集・解析は順調であったが、昨年度末から進めていた免疫組織化学染色等よる検討が、COVID-19の蔓延に伴う業務の縮小に伴い、予定よりも遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、子宮体癌の希少フラクションについて、臨床病理学的情報から得られた知見は論文化を進める。研究コホートの整備は終了しているので、今年度は、各組織型について、組織形態学的特徴及び免疫組織化学染色や遺伝子変異解析等による非浸潤性病変と浸潤性病変の解析を進め、各タイプの発生・進展過程で生じる分子病理学的異常を特徴づけていく予定である。COVID-19に関する緊急事態宣言解除後は、ペースアップして研究を進捗させる予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた免疫組織化学染色及び遺伝子解析用試薬の購入が、実験予定の遅延により遅れたため、次年度に購入する必要が有り、次年度使用を申請します。
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