2022 Fiscal Year Research-status Report
肺癌病理診断におけるデジタルパソロジー技術及び人工知能の有用性の検討
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19K16573
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
寺田 志洋 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (10712789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌 / 予後予測 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人工知能を活用し肺癌の病理組織学的情報を分析、処理することで、予後に関わる形態学的情報の客観的評価を可能にすることを目的とした。この定量化された病理組織学的情報に基づいた客観的な予後因子の評価により、精度の高い予後予測が可能になると考えた。これに関連し、本年度においては下記の2つの研究を行った。 1. 肺腺癌切除症例において、HE染色、EVG染色を行った病理スライドを用いて、その腫瘍構成成分の面積を各成分ごとに人工知能を用いて定量的に測定した。測 定したデータを用いて、腫瘍上皮や膠原線維、弾性繊維などの面積を組み合わせたパラメータを算出し、これが肺腺癌切除症例において予後予測に有用である可 能性を示した。この内容について論文を作成、投稿し、acceptされた。 2. 肺癌切除症例のおいて、HE染色、AE1/AE3染色を行なった病理スライドを用いて、腫瘍構成成分の面積を各成分ごとに人工知能を用いて定量的に測定した。測定したデータを用いて、腫瘍上皮、腫瘍間質、その他(壊死、気腔など)の面積を組み合わせたパラメータを算出し、これが肺癌切除症例において予後予測に有用である可 能性を示した。 いずれの研究においても、肺癌の病理組織学的情報を定量的に測定するうえで人工知能は非常に有用なツールであった。肺癌病理診断において客観性、かつ再現性のある病理組織の評価を可能にする人工知能は、今後の肺癌病理診断の発展に少なからず貢献できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
浸潤性腺癌の組織亜型の割合の測定、定量化に必要な病理スライドの選別、およびそのデジタルデータの解析、解釈に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
潤性腺癌症例の病理スライドの選別、デジタル化を進める。また、すでに取り込まれたデータの解析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の流行により海外学会への参加が困難になったこと、また、学会発表がweb開催となったことなどによる。 翌年度分は、病理スライドの購入や免疫染色のための試薬の購入、および論文投稿料などに使用する予定である。
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