2019 Fiscal Year Research-status Report
小型肺腺癌のプロテオミクス解析により見出された悪性化に関わるタンパクの機能解析
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19K16578
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臺 知子 筑波大学, 附属病院, 研究員 (20835194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人の肺腺癌におけるドライバー遺伝子の約半分はEGFR変異である。EGFR変異は前癌病変や予後の良い小型肺腺癌においても検出され、肺腺癌の段階的悪性化にはEGFR変異とは別の因子が関わっていることが考えられる。 EGFR変異のある初期肺腺癌(予後の良い)5例と小型肺腺癌(予後の悪い:リンパ節転移有り、または本症例切除後転移があった)5例からレーザーマイクロダイセクションで癌細胞のみを採取しタンパクを抽出した。これらのタンパクについてLC-MS/MSを用いて定量比較解析を行った。本研究では、初期肺腺癌より小型肺腺癌で発現が2倍以上高値であった13個のタンパクについて、肺腺癌の予後に与える影響を解析する。 まずはじめに、それぞれのタンパクに対する抗体を入手し、その特異性を検証するため陽性コントロールとなる細胞株からタンパクを抽出し、ウエスタンブロットを行った。13個全てのタンパクについて特異的に反応が見られる抗体が選択できた。それらの抗体を用いて、初期肺腺癌3例と小型肺腺癌5例に対して、ウエスタンブロットを行いシグナルの濃さを定量解析した。初期肺腺癌より小型肺腺癌で発現が統計学的に有意な上昇を示したタンパクは6個(CRABP2, NDRG1, DHCR24, AK4, PIP4K2C, IFITM3)であった。次にLC-MS/MS解析に最初に使用した初期肺腺癌5例と小型肺腺癌5例を用いて免疫組織化学染色を行った。現在、ウエスタンブロットで有意差が見られ、10症例を用いた免疫組織化学染色においても染色性に有意差が確認されたタンパクについて、200症例の肺腺癌組織マイクロアレイを用いて免疫組織化学染色を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各抗体の特異性検証をウエスタンブロットで行った。非特異反応のない抗体を見つけることにやや手間取ったが、ウエスタンブロット及び免疫染色による候補タンパクの絞り込みは順調に進んでいる。200症例の肺腺癌TMA免疫組織化学染色及び予後解析が終わり次第、機能解析に進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
絞りこみを行ったタンパクについて、肺腺癌細胞株を用いた遺伝子抑制実験を行い、肺腺癌悪性化のどの機構に関わっているのか明らかにしたい。
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