2020 Fiscal Year Research-status Report
胎児型胃癌の総合的検討 - 臨床への還元を目指して
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19K16581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山澤 翔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80824789)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胎児形質胃癌 / 免疫形質 / 神経内分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
AFP産生胃癌を始めとする胎児型の形質を呈する胃癌は高悪性度な胃癌である。肝臓転移を始めとして予後の不良な一群であるが、特別な治療法の開発には至っていない。今回、網羅的な遺伝子解析から抽出した特定の分子の発現について他の胃癌の各群と比較してAFP産生胃癌にて高発現をしていることを示した。またAFP産生胃癌ではHER2も高発現しているが、上記の分子と相互排他的ではなく別の機序を担っている、あるいは共同で作用する働きがある可能性が考えられた。同分子の遺伝子の増幅はあまり見られず、高発現機序としては脱メチル化をはじめとするエピジェネティクス、あるいは他のカスケードの下流として発現が変化している結果が考えられる。AFP胃癌を含む胃癌の細胞株や阻害剤・siRNAを用いた検討では、同分子の発現がAFP産生胃癌の増殖能に一定の影響を与えている可能性が示された。同分子に対する治療がAFP産生胃癌に対する治療に関わる可能性がある。 またAFP産生胃癌の多彩な分化を施設の豊富な症例から抽出・免疫染色による検討を加え臨床病理学的な特徴を整理している。エピジェネティクスの変化による各分子の発現・腫瘍の性状の変化についても検討を加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AFP産生胃癌で特徴的な分子について解析を行い、検討を行うことができた。新型コロナ感染による影響はあり一部のin vitroの実験は遅れてしまったものの免疫染色やFISHなども含め工夫をして研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、前年度やそれ以前に出された研究結果をまとめて論文として発表することを第一に目指す。AFP産生胃癌は多彩な分化傾向を示すことが示唆されており、多数の症例からまとめて報告すること。代謝などを含めAFP産生胃癌の特徴をまとめて更に治療へとつながる基礎を造ることを目指していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる研究活動の制限もあり、特にin vitroの実験や遠方の学会への参加が遅延・中止となることがあった。次年度にかけて、本来行う予定であった実験も含めて研究を進めていく。
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