2019 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞移植後の骨髄再構築過程と生着不全における責任細胞の分子病理学的解明
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19K16585
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉重 真沙子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10836422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / ニッチ / 骨髄 / CAR細胞 / ヒト |
Outline of Annual Research Achievements |
生着不全は造血幹細胞移植の致命的合併症であるが、その病態については未知の部分が多く、ヒト骨髄の病理組織標本を用いた解析はほぼなされていない。我々は生着不全の病態解明のための第一歩として、正常生着例における骨髄再構築過程の病理組織学的特徴を明らかにした。まず、特殊染色や免疫染色により正常の生着過程において三系統の造血細胞が特有の造血様式を示すことを多数例でまとめ、臨床病理学的特徴をまとめた。また、造血不全には免疫細胞による移植片の排除のみでなく、造血を支持する間質細胞の異常が病態形成に関与している可能性も考えられる。本研究では、申請者が大幅に改良したimmunoFISH法を用いて、生着過程における免疫細胞や造血支持細胞のキメリズムの経時的変化も明らかにした。その際に造血支持細胞として、造血幹細胞ニッチであり間葉系幹細胞でもあるCXCL12-abundant reticular (CAR) 細胞に着目した。CAR細胞はマウスを使った実験により長澤丘司らにより発見された細胞であるが、ヒト骨髄において同等の細胞(CAR細胞)が存在するかは明らかにされていない。我々は長澤研との共同研究においてhCAR細胞の組織学的同定を担当し、その結果、hCAR細胞は特異的なマーカーで同定することができ、マウスCAR細胞と同様の組織学的特徴と造血支持機能を有することを示した。そして同マーカーを用いたキメリズム解析により、hCAR細胞が移植後もほぼレシピエントのままであることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画通りに進んでいるが、当初計画していた正常生着例の病理組織標本で免疫細胞や造血支持細胞のキメリズム解析のみでなく、ヒトCAR細胞の組織学的同定も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
正常生着例を比較対象として、生着不全症例における責任細胞の由来および臨床病理学的特徴を明らかにする。
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