2019 Fiscal Year Research-status Report
早期胃癌におけるHER2不均一性の形成機序とトラスツズマブ治療抵抗性獲得の解明
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19K16593
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
金山 和樹 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (20605943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HER2 / 早期胃癌 / Genetic heterogeneity |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、HER2の腫瘍内不均一性(HER2 heterogeneity)を示す早期胃癌のHER2陽性腫瘍部位とHER2陰性腫瘍部位の癌関連遺伝子変異について網羅的に解析を行い、癌の早期段階で認められるHER2腫瘍内不均一性がどのような遺伝子変異を伴って形成されているのか、また、トラスツズマブ治療抵抗性の変異が早期の段階で獲得されるのかどうかについて明らかにすることを目的としている。 本年度の研究では、過去にHER2遺伝子増幅とHER2タンパク過剰発現の検討を行った早期胃癌の中から解析可能な症例を抽出し、HER2 homogeneity(均一)を示す早期胃癌 2例について網羅的遺伝子解析を行った。網羅解析後、Ion Repoterでnon-synonymous、タンパク機能スコア(polyphen2、SIFT score)などから重要度が高いと予測される変異のみの抽出を行ったところ、2例ともTP53の遺伝子変異が認められたが、TP53以外の既存のdriver変異は認められず、検出された多くが意義不明の遺伝子変異(VUS)であった。しかし、検出された遺伝子変異のアリル頻度(VAF)にバラツキが認められたことから、HER2 homogeneityを示す腫瘍においても早期の段階でHER2-positive cellの多クローン化が進む可能性が示唆された。この多クローン化についてはトラスツズマブ治療抵抗性や再発の原因に繋がる可能性があると推察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最大の目的である、HER2の腫瘍内不均一性(HER2 heterogeneity)を示す早期胃癌についての網羅解析がまだ実施出来ていない。この理由として、ピックアップした症例のDNAのクオリティーが予想よりも低かったことが挙げられる。解析率を上げるために、倫理委員会に申請し解析対象期間の変更を行った。現在、HER2の免疫染色とDNAのクオリティーチェックを行い解析対象症例の検索を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象症例を抽出後、早急に網羅解析に取り掛かる。また、DNAクオリティーの改善のためにDNA修復やWhole genome amplification法の予備実験を行い、改善度合いやValidationの妥当性についても検討を加える。 コピー数変化については前年度に作成したMLPA法のプローブを使用して解析を行う。また、本研究ではcell lineの解析を最終年度に予定しているため、HER2陽性胃癌cell lineを購入し、解析のための条件検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度、解析予定であったものが一部困難となったため。次年度に解析費として使用する予定である。
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