2022 Fiscal Year Annual Research Report
早期胃癌におけるHER2不均一性の形成機序とトラスツズマブ治療抵抗性獲得の解明
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19K16593
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
金山 和樹 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (20605943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 早期胃癌 / HER2 / Genetic heterogeneity / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍内不均一性は、分子標的治療薬の治療抵抗性の原因の一つと考えられている。本研究対象の胃癌ではHER2遺伝子増幅の腫瘍内不均一性(以下、HER2不均一性)を示す症例が非常に多く、トラスツズマブ治療抵抗性を示し予後不良であることが報告されているため、HER2不均一性の形成機序およびトラスツズマブ治療抵抗性の分子メカニズムの解明が重要となる。過去に我々は、がん関連遺伝子変異をHER2不均一性進行胃癌について網羅的に解析した結果、HER2陽性部位と陰性部位では検出される変異は異なっており、腫瘍内にHER2非依存性経路が存在し治療不応性の原因となる可能性を報告している(Kanayama K, et al. Pathol Int. 2020 Nov;70(11):865-870.)。また、HER2不均一性は早期胃癌の段階で形成され、不均一性を維持した状態で腫瘍進展する可能性を見出しているため(Kanayama K, et al. Virchows Arch. 2018 Nov;473(5):559-565.)、癌の早期段階でHER2遺伝子増幅以外のドライバー変異を獲得することで非自立性増殖が可能となり、HER2不均一性が維持されトラスツズマブ治療抵抗性が獲得されるのではないかという仮説を立て本研究課題を進めてきた。最終年度では、HER2不均一性早期胃癌についてがん関連遺伝子変異の網羅解析を行った。その結果、興味深いことに進行胃癌と同様のドライバー変異が検出された。このことから早期の段階でHER2非依存性経路が存在しトラスツズマブ治療抵抗性が形成されている可能性が示唆された。また、前年度に解析したHER2均一性早期胃癌ではHER2以外のドライバー変異は検出されなかったことから、HER2均一性胃癌とHER2不均一性胃癌では腫瘍性質が異なる可能性があることが分かった。
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Research Products
(3 results)