2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K16607
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浅川 杏祐 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, プロジェクト助教 (60747187)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚 / 老化 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化における幹細胞やストレス/老化細胞の振る舞いを解析することにより、生理的な老化メカニズムを理解することを目的とし、前年度に行った若齢期と老齢期マウスの皮膚構成細胞についての網羅的トランスクリプトーム解析に加え、皮膚構成細胞の加齢に伴う経時的変化を捉えるために、中年期マウスについても網羅的トランスクリプトーム解析を行った。これらのデータマイニングの結果、加齢に伴う皮膚構成細胞の量的・質的変化を明らかにしている。 また、これまでに見出していた、老化したヒト表皮・毛包幹細胞において発現が減退する遺伝子を欠損したマウスを作成したところ、早期の脱毛や白色毛化、皮膚のびらんなど老化様の皮膚機能低下を示した。さらに、この遺伝子を薬剤により表皮幹細胞での欠損を誘導可能なマウスを作成し、R26R-confettiマウスと掛け合わせて、生体内で単一細胞レベルでの系譜解析実験を行ったところ、遺伝子欠損幹細胞は基底層から競合的に排除され長期間留まることができず、皮膚の恒常性維持に寄与できないことが明らかとなった。In vitroの三次元表皮培養系においても同様に遺伝子欠損幹細胞が優先的に排除される様子が見られた。 以上の結果から、幹細胞の質的変化が皮膚機能の低下につながることを明らかとし、幹細胞を中心とした生理的な皮膚老化メカニズムの一端を捉えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に加え、中年期の皮膚構成細胞についての網羅的トランスクリプトーム解析を完了し、データマイニングを進めた結果、皮膚構成細胞の経時的な変化を捉えることができている。また、最終年度に予定していた老化/ストレス細胞の系譜解析を前倒して解析することができており、研究は順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、網羅的トランスクリプトームデータのさらなるデータマイニングを行い、老化に特徴的な因子や経路を明らかとするとともに、in vivo, in vitroにおいてストレス/老化細胞の時空間的な挙動解析を行う。さらに、初年度に見出した環境因子と幹細胞運命の関係や阻害試験により分子レベルでの解析を進める。
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