2020 Fiscal Year Research-status Report
Follicular dendritic cellによるIgE産生制御機構の解明
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19K16608
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
國石 茉里 (彦坂) 三重大学, 医学系研究科, 助教 (70804326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FDC / リンパ節 / stromal cell |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞はリンパ節などのリンパ組織において増殖し抗体産生細胞へと分化する。Follicular dendritic cells (FDCs)はB細胞が活性化する場に局在する非造血系細胞で、CD35分子を介して抗原抗体複合体をB細胞に提示し活性化を促すことが知られている。また、IgEやIgAなどの抗体産生を間接的に制御することも報告されている。しかしながら、FDCはリンパ節ごとに発現分子や機能が異なるとの報告から、様々なリンパ組織のFDCは一様に抗体産生を制御できるのかについて詳細は不明である。そこで、本課題では各リンパ節のFDCを回収し、B細胞のIgEを始めとした抗体産生の制御機構を比較することで、微小環境の担うIgE抗体の制御機構の一端を解明することを目指している。昨年度は、FDCの検出系の構築および各リンパ節ごとのFDCで発現する分子の検討を行った。本年度は、各リンパ節ごとのFDCの機能検証を行うために、腸間膜リンパ節のFDCを用いて培養系確立を行った。昨年度の計画通り、我々はまずセルソーターにてCD35+CD45-区画を回収し、コラーゲンコートをしたDishにて培養を試みた。しかしながら、FDCは接着せずこの方法では機能実験が困難であることが分かった。そこで、マグネティックビーズに切り替え、単離したCD35+細胞を播種したところ、培養5日目にはほとんどの細胞が接着した。FDCはリンパ節あたり1万個に1個とかなり低い頻度で検出されるが、この方法ではおおよそ70%までエンリッチすることに成功した。さらに、FDCで発現するMfge8およびCxcl13をmRNAレベルで発現していたことから、FDCであることも確認した。現在、我々はIgE抗体の誘導方法の検討をするとともに、CD35+細胞とB細胞の共培養実験に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FDCとB細胞の培養系の構築が完了した。さらに副次的な結果ではあるが、FDCと共培養することで、B細胞の胚中心B細胞への分化をより促進することを見出している。次年度に計画している各リンパ節ごとのFDCにおけるB細胞のIgE抗体産生の制御実験を行う準備が整ったため、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、各リンパ節のFDCはセルソーターにて回収し、B細胞と共培養実験を行う計画を立てていた。しかし本年度、セルソーターで回収した細胞は培養しても接着せずB細胞との共培養実験を行うのは難しいことが分かった。そのため研究計画を変更し、マグネティックビーズを使いCD35+細胞をFDCとして各リンパ節から単離する。その後、B細胞とIgE誘導因子とともに共培養実験を行い、各リンパ節のFDCの誘導能を比較する。また抗原とアジュバントでIgE抗体を誘導したマウスから、各リンパ節のFDCを回収しIgE制御に必要なサイトカインの発現の比較など、各リンパ節のFDCは異なる表現型を示すのか検証する。また、IgE以外の他のクラスの抗体も同様に検証する。
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Causes of Carryover |
昨年度の実験計画で予定していたFDCの培養系の確立のため、培養メディウムや試薬などの購入を予定していた。しかし、実験の遂行がスムーズに進んだため、次年度使用額が生じた。次年度の実験器具等の消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)