2019 Fiscal Year Research-status Report
紫外線による皮膚癌発生においてDNA損傷トレランスが果たす機能の解明
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19K16616
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
櫻井 靖高 北里大学, 医学部, 助教 (50733101)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA損傷トレランス / 損傷乗り越えDNA合成 / 紫外線 / 突然変異 / 発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では紫外線による突然変異の蓄積と皮膚癌の発生にREV7が関与しているかどうかを明らかにすることを目的としている。そのために、遺伝子改変マウス個体を用いた解析とマウス由来の培養細胞を用いた解析の両面からアプローチしている。 本年度は、培養細胞を用いた解析とマウスの交配を行った。まず先行研究で樹立したマウス由来のケラチノサイト(野生型とPolh欠損型)を用いてRev7遺伝子のノックアウトを行い、Rev7欠損型細胞とPolh Rev7二重欠損型細胞を作成した。作成した細胞に対して紫外線感受性をコロニー形成試験法で解析を行ったところ、Rev7欠損型細胞はPolh欠損型細胞よりも高い感受性を示した。また、Polh Rev7二重欠損型細胞はそれぞれの単独欠損と比較して、相乗的な感受性の亢進を示した。次にこれらの細胞に対して紫外線に誘発される突然変異頻度を解析した。その結果、Rev7欠損型細胞は野生型細胞よりも低い突然変異頻度を示し、Polh欠損によって上昇する突然変異頻度はRev7のノックアウトにより抑えられることがわかった。さらに、突然変異スペクトラムを解析したところ、Rev7を欠損するとすべての突然変異頻度が低下し、中でも皮膚癌で高頻度に見られるG:C to A:T変異の低下が顕著に見られた。これらの結果から、Rev7は細胞の紫外線損傷応答に対して極めて重要な機能を果たしており、細胞の生存と突然変異の誘発に関係していることが示唆された。 次年度はRev7過剰発現細胞を作成し同様に解析を行うとともにマウスを用いた解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの交配が予定通りには進まなかったが、その間に細胞の解析を滞りなく進めることができたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの達成度】で評価した通り、当初の計画をおおむね順調に推進していることから、計画の大きな変更等は行わず、マウスを用いた解析を中心に進めていく。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの交配が予定通り進まなかったため、次年度使用額が生じた。 実験動物関連と細胞培養関連を中心とした消耗品の補充及び実験動物の購入費に充てる予定である。
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