2019 Fiscal Year Research-status Report
胎児炎症反応において頭部の原始マクロファージが早産児脳障害を誘発するメカニズム
Project/Area Number |
19K16617
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
三浦 晶大 杏林大学, 保健学部, 助教 (00807753)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 早産児脳症 / 全身性炎症 / マクロファージ / ミクログリア / IL-1β |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトでは早産児に相当するマウスの新生仔を用い、脈絡叢および頭部間葉のマクロファージ、脳実質のミクログリアが全身性炎症に応答するかをインターロイキン(IL)-1β発現を指標にして調べた。 生後7日齢(P7)にLPSを投与した群で4時間後に脈絡叢・頭部間葉MφのIL-1β陽性率が生理食塩水を投与した群と比べて増加したことに加え、脳実質の小脳髄質でもマクロファージ/ミクログリアのIL-1β陽性率は生理食塩水群に比べて有意に上昇した。成体マウスにおける同様のデザインで行われた実験では、LPS投与4時間後において、新生仔期の頭部間葉に相当する髄膜空間および脈絡叢ではIL-1βによる炎症性応答がみられたが、脳実質のいずれの部位でもIL-1βによる炎症性応答はみられなかった。 さらに、新生仔マウスの脳における生後発達に伴う頭部間葉マクロファージおよび脳実質ミクログリアの時間的変化を解析したことにより、P7の時期において頭部間葉マクロファージの脳実質内への移動を示唆する結果が得られた。 このことより、新生仔マウスにおける全身性炎症の際、脈絡叢間質・頭部間葉のマクロファージがIL-1βによる炎症性応答を担うことが明らかとなった。さらには、P7の時期では、この部位のマクロファージが脳実質内に移動し、脳内の炎症性環境の形成に関与していることが示唆された。 以上より、P7の時期に全身性炎症が生じると、脈絡叢・頭部間葉のマクロファージが初期の炎症性応答を担い、活性化状態を維持したまま脳実質に進入すると考えられる。この現象は早産児の全身性炎症に続発して脳内に炎症性環境が持続する原因に関与すると推測する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、2019年度に予定していた新生仔期における組織学的解析と遺伝子発現解析のうち、組織学的解析は投与1時間後および4時間後に加えて、24時間後である生後8日齢も解析し、成果が得られたが、遺伝子発現解析は新鮮脳採取までに留まっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は新生仔期の遺伝子発現解析を進め、若年期および成体期の解析に移る予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度に予定していた新生仔期の組織学的解析と遺伝子発現解析のうち、組織学的解析は予定通りに進行したが、遺伝子発現解析はサンプル採取までに留まっている。DNA microarray外注費用の分が残額として残っている。 次年度は予定している若年期および成体期の解析と並行し、新生仔期の遺伝子発現解析を行う予定である。
|