2019 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of aging by epigenetic memory in satellite stem cell
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19K16619
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
早野 元詞 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (30593644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ICE / RCM / HNF4A / Myc / SETD1B |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、老化誘導モデルICE (for inducible changes to the epigenome)を用いて、加齢に伴う幹細胞の分化、増殖、再生、フレイルの変化の分子機序を解析することを目的としている。特にDNA損傷はATMなどDNA損傷チェックポイントを活性化することで、クロマチン修飾を変動させることが知られている(RCMモデル)。ICE(Induced changes on epigenome)においてI-PpoIエンドヌクレースを3週間発現誘導し、老化誘導を行うと5か月後に脳、筋肉などの臓器機能が著しく低下する。一方で、老化誘導後1か月後おいては顕著な老化表現系が観察されないが、筋肉における遺伝子発現をRNA-seqによって網羅的に解析を行った。その結果EIF2 signalingやmTOR signaling, Mitochondrial Dyscunctionに関する遺伝発現経路が顕著に変化しており、HNF4A, Mycなどの上流転写因子の関与が示唆された。また遺伝子発現においてHistone H3K4me3のメチル化因子SETD1B (SET Domain Containing 1B, Histone Lysine Methyltransferase)の発現増加、H3K27me3の脱メチル化酵素Kdm6b の増加、H3K27acに関与するHDAC7の減少が確認された。それぞれのヒストン修飾は共に遺伝子発現の活性化に寄与するが、今後これらのヒストン修飾因子の局在と遺伝子制御が老化速度や閾値を決める分子機序であるか確認が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA損傷によって筋肉において変動する遺伝子群を捉えており、また筋幹細胞の単離と培養系までは確立されており、またICEマウスにおいてCas9を組み込んだICE Cas9 miceも確立が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ICEマウスの筋肉から筋幹細胞量の増減、筋修復機能の変化を確認する。さらに筋幹細胞をICEマウスの筋肉からDNA損傷誘導前後に単離、もしくは単離後に培養中にDNA損傷を誘導する。ゲノム変異を誘導しないDNA損傷が、ATMなどのチェックポイント活性化と、エピゲノム変動を介して幹細胞の増殖、分化などに影響しているかについて検討する必要がある。筋幹細胞量について定量もしくは単離が必要な場合に、YFP-Pax7 miceとICE miceを交配させ、筋幹細胞特異的に蛍光を発する実験系を導入する。これによってFACSを用いた筋幹細胞を筋肉から単離できるだけでなく、細胞数の増減や、遺伝子編集を行なった際の幹細胞の動態を捉えることができる。これらの細胞において、HNF4A, Myc下流の遺伝子発現変化やHistone H3K4me3、H3K27me3の変動がDNA損傷誘導、修復後などにおいてどのように変化するのかについて検討を行うことで、エピゲノム制御と老化における分子制御機構を明らかにする。
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