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2019 Fiscal Year Research-status Report

T. cruzi 感染刺激による宿主オートリソソーム形成抑制機構の解明

Research Project

Project/Area Number 19K16626
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

鬼塚 陽子  群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (30710058)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
KeywordsTrypanosoma cruzi / SNARE複合体 / オートファジー
Outline of Annual Research Achievements

クルーズトリパノソーマ (Trypanosoma cruzi, T. cruzi) は、中南米で流行しているシャーガス病の原因である細胞内寄生原虫である。この原虫の細胞内分裂増殖機構や病態形成メカニズムは明らかにされておらず、原虫は宿主防御反応に対する回避システムを有し、生き延びていると考えられる。宿主応答の一つとして細胞内タンパク質分解機構のオートファジーが挙げられ、この機構は小胞体から隔離膜が伸長し、不要物を包み込んだオートファゴソームを形成後、リソソームと融合することでオートリソソームとなり、内容物を加水分解する。これまでに、T. cruzi 感染細胞では、宿主オートファジーの初期過程は活性化しているが、オートファジーは完了せず、原虫は増殖・生存することを明らかにした。特にオートリソソーム形成が抑制されていることから、本研究ではオートリソソーム形成に関わるSNARE (soluble N-ethylmaleimide-sensitive attachment protein receptor) 複合体 (syntaxin17: stx17, Vesicle-associated membrane protein 8: VAMP8, Synaptosomal-associated protein of 29 kDa: SNAP29) に焦点をあて、T. cruzi 感染による宿主オートリソソーム形成抑制機構を明らかにする。
2019年度は、T. cruzi 感染細胞における、各SNARE 分子の細胞内局在及び遺伝子・タンパク質発現を中心に調べたところ、VAMP8 タンパク質発現量は非感染細胞との差は見られなかったが、stx17 及びSNAP29 タンパク質発現量は減少が認められた。また、stx17 タンパク質と相互作用する原虫側因子を探索するために、感染細胞ライブラリーを用いたyeast two hybrid 法 (Y2H) を試みたところ、いくつかの因子を得ることができ、現在解析を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

膜融合に関わるSNARE 分子は、オートファゴソームにstx17、リソソームにVAMP8 がそれぞれの膜上に結合しており、両者とSNAP29 が複合体を形成することでオートリソソーム形成が完了することが知られている。初めに、T. cruzi 感染9時間後のタンパク質発現量を調べたところ、VAMP8 は非感染細胞 (cont.) と差はなかったが、stx17, SNAP29 はcont. より減少傾向であった。次に細胞内局在を調べるために、GFP-VAMP8 発現HeLa 細胞を樹立し、感染9時間後のVAMP8 を蛍光抗体法で観察したところ、cont.との差は認められなかった。一方、感染9時間後のFLAG-stx17 HeLa 細胞 (Arasaki et al. Nat. commun.,2017) では、一部の感染細胞でstx17 の減少が観察された。そこで、原虫感染刺激によりmRNA 発現が抑制されている可能性を考え、感染9時間後のstx17 及びSNAP29 遺伝子発現をqPCR法にて調べたところ、stx17 遺伝子はcont.と差は認められなかったが、SMAP29 遺伝子量はcont. と比べ増加した。これらの結果から、T. cruzi 感染細胞では、VAMP8 の発現量・局在は変化しないが、stx17, SNAP29 は分解され減少し、機能が抑制されている可能性が示唆された。
そして、stx17 タンパク質と相互作用する原虫側因子探索のためのY2H 法を構築し、4つの相互作用因子を得たことから、ここまでの研究は概ね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

stx17とSNAP29 に焦点を当て、申請内容に沿い実験を進める。Tag 付きSNAP29 発現細胞を樹立し、pull down assay を行い、加えてY2HのスクリーニングをSNAP29 でも行い、stx17 と同様、相互作用因子の探索・同定をさらに進める。上記方法にて原虫側因子の探索が困難な場合は、既に報告されている他の病原体が産生するSNARE 分解因子と相同性のあるタンパク質をin silico で解析し、候補因子として研究を進める。

Causes of Carryover

当初参加する予定であった勉強会及び学会に参加できなかった。また購入予定機材の使用許可がおり、未使用額が生じた。
2019年度の未使用額は、相互作用因子探索のための試薬購入やLC-MS/MS解析のための外注費に充てる。2020年度経費の主な用途は消耗品で、内訳として細胞培養に必要な培地、血清、ディスポーザブルピペット等のプラスチック製品、抗体などがあげられる。また、国内学会に参加し、研究成果を発表するための旅費も計上した。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] バイオイメージングによる慢性期Chagas 病の炎症動態解析2019

    • Author(s)
      矢澤祐典、鬼塚陽子、番場みのり、村田涼子、瀬戸 絵理、嶋田淳子
    • Organizer
      第66回北関東医学会総会
  • [Presentation] バイオイメージングによるT. cruzi 感染マウスの炎症の検出2019

    • Author(s)
      矢澤祐典、鬼塚陽子、番場みのり、村田涼子、瀬戸 絵理、嶋田淳子
    • Organizer
      第79回日本寄生虫学会東日本支部大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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