2021 Fiscal Year Research-status Report
貝類寄生虫パーキンサスが持つ最も退化した葉緑体の機能解析
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19K16627
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 寛和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40724349)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2024-03-31
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Keywords | パーキンサス / アピコンプレクサ / アピコプラスト / 非光合成型葉緑体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫やトキソプラズマに代表されるアピコンプレクサ門原虫は、その細胞内に光合成能を喪失した退化的な葉緑体を持つ。この葉緑体は、原虫の生存に必須であるが、その普遍的な生理学的意義は完全には理解されてない。本研究は、アピコンプレクサに近縁な貝類寄生原虫パーキンサスが持つ、独自ゲノムすらも喪失した最も退化した葉緑体に着目し、そこに残されているであろう葉緑体の最小限のタンパク質群および代謝経路の解明を目的とした。本研究ではまず、パーキンサス葉緑体内へ任意タンパク質を輸送する技術、および葉緑体の単離技術の開発を目指した。 これまで、研究代表者らはパーキンサスの遺伝子安定発現株の樹立法の開発に成功してきたが、細胞内共生由来オルガネラへ輸送されるタンパク質の安定発現株の樹立には成功していなかった。パーキンサスには有用な葉緑体局在の指標がないため、本研究ではまず、染色試薬による局在評価が容易なミトコンドリアを対象にオルガネラ輸送タンパク質の安定発現系の技術開発を行った。パーキンサスでは導入遺伝子のゲノム組換え機構が不明なため、標的遺伝子と薬剤耐性遺伝子を分断せず(片方のみがゲノムに組込まれる事を避けるため)、単一の転写産物として発現させ、かつ自己切断2Aペプチドにより翻訳時に2ペプチド鎖に分断させ、これらの局在がオルガネラと細胞質に分かれうるようデザインした。これにより、自己切断なしでは極めて低効率であったミトコンドリア輸送タンパク質の安定発現細胞の薬剤選択が、ほぼ100%の効率で達成できた。これについては論文として報告する事ができた。現在、本法による葉緑体GFPマーカー細胞の作出を推進中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動による所属機関の変更に伴い、研究環境が変化したため。その整備と実験の立ち上げに時間と費用を当てざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度(令和3年度)にパーキンサス培養と基本的な分子生物学的な実験環境を整備する事ができたので、当初の計画に沿って実験を実施する。特に、遺伝子導入細胞の樹立系が整備できたので、これを用いて葉緑体単離用の細胞株を速やかに樹立する。本細胞の樹立後に、パーキンサス葉緑体のイメージングおよびその単離を試みる計画である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関の変更にともなう、研究活動の遅延のため。また、計画していた研究打ち合わせのための出張が新型コロナの状況で行えなかったため旅費の執行が滞った。 現在は研究環境が整ったため、計画していた実験の遂行のための物品を揃えるために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)