2020 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性炎症性疾患に対する豚鞭虫卵内服療法の効果とメカニズムの解明
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19K16632
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
保科 斉生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60648830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 豚鞭虫 / 寄生虫卵内服療法 / 安全性試験 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の豚鞭虫卵(TSO)内服療法安全性試験で得られた糞便を対象として、次世代シーケンサーを用いた腸内細菌叢解析を実施した。α多様性の測定にはShannon-Weiner指数を、β多様性の測定にはWeighted UniFrac距離を用いて評価した。結果、腸内細菌叢の多様性が変化する症例も認められたものの、プラセボ群とTSO内服群の比較において明確な差異は認められなかった。また、下痢や腹痛等TSO内服による副作用が認められた症例と、無症候例の比較においても一定の傾向は認められなかった。腸内細菌叢の内訳としては、多くの検体でLachnospiraceae科やRuminococcaceae科、Bifidobacteriaceae科などのグラム陽性偏性嫌気性菌が優位であった。TSO2500、7500では内服後にAkkermansiaceae科が増加する症例が4例見られたが、プラセボ群とTSO 1000群では観察されなかった。本研究の参加者は健康成人男性であり、研究期間中の食事制限を設定しなかったため、結果にばらつきが生じたと考察した。一方で、単回のTSO内服が腸内細菌叢に及ぼす影響は少ないことが判明した。 昨年の臨床研究ではTanawisa社のTSO製剤を使用したが、研究継続には煩雑な輸入手続きや、購入費用が持続的に発生することが予想された。そこで、大学の研究施設でも飼育が容易なマイクロミニピッグに注目し、豚鞭虫の継代法を確立するために感染実験を行なった。国内の養豚場から分離された豚鞭虫卵を2匹のマイクロミニピッグに経口摂取させ、排泄された糞便中の虫卵を検索した。それぞれ摂取から39日目と42日目に虫卵の排出が始まり、従来のブタにおけるプレパテントピリオドと相違がないことを確認した。1個体の虫卵の排出期間は約10週間に及び、十分なTSOの回収が可能であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)