2021 Fiscal Year Annual Research Report
New dermatomycosis -how entomopathogenic fungi attacked human?
Project/Area Number |
19K16634
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伴 さやか 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (90834664)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚糸状菌 / 昆虫病原性糸状菌 / 分類 / リスク評価 / Cordycipitaceae / Lecanicillium / Parengyodontium album |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの皮疹から分離された無色糸状菌が、主要な昆虫病原性糸状菌と同じ分類群のLecanicillium coprophilumと同定された。本菌種の日本からの報告及びヒト患者からの分離例は初めてであった。近縁種 Parengyodontium albumは、ヒトの皮膚疾患や深在性感染症を引き起こすことが知られている。そこで、この菌群がどれ程人体にリスクがあるか調査することを目的として、菌学的及び疫学的調査を行った。 これらの菌株のVRCZ, ITCZ, FLCZ, AMPHに対する薬剤感受性は極めて低かった。プロテアーゼ産生を簡易検出するスキムミルク培地での培養試験では、L. coprophilum IFM 61953、P. album IFM 56535他に活性が認められたものの、特定の種が産生能を示したわけではなく、菌株ごとに異なる特性を示した。続いてケラチン(毛髪や爪、皮膚を想定)及びキチン(節足動物外骨格)に対する分解活性を調査したところ、それぞれの基質入りの培地では活性を示すハローがわずかに認められたが、胞子懸濁液と基質を反応させた定量試験では検出限界以下であった。 最後にヒトと接する環境中の分布を調査する予定だったが、コロナ禍により外部調査が制限され、自宅の寝室のみのサンプリングを10日置きに繰り返した。現在までに約660株の分離株を得たが、L. coprophilum、P. album等は未だ分離できていない。追加の調査が必要ではあるが、本研究の結果からは屋内空気中に飛散している数は極めて少ないことが示された。 30℃までは旺盛に生育するが35℃では生育が抑制されることなど総合的に勘案すると、ヒトや家畜に対しては日和見感染菌としても考えづらい。少なくとも日本においては、バイオセーフティレベルの4段階中、一般的にはBSL-1と評価される。
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