2021 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞に対して炎症抑制するプロバイオティクス候補大腸菌の炎症機序解明と応用
Project/Area Number |
19K16639
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
谷本 佳彦 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 客員研究員 (10780984)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症応答抑制 / 大腸菌 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までは炎症応答抑制を起こす分散接着性大腸菌の代表株に焦点を当てて進めてきたが、本年度は、ヒト健康者由来の分散接着性大腸菌(DAEC)合計17株に広げ、その表現型と遺伝子型を主に比較した。まず、表現型確認として、ヒト培養細胞に対する炎症性サイトカインの抑制能力について評価し、炎症抑制能力を持つ株(抑制グループ)と持たない株(非抑制グループ)に分類した。さらに17株の全ゲノムデータから、両グループに共通しない遺伝子を探索したところ、抑制グループのみに共通して持つ遺伝子と非抑制グループのみに共通して持つ遺伝子を同定した。これらの遺伝子と、データベースに登録されている他の大腸菌のゲノム情報、および前年度より行っている代表株のトランスポゾン変異によって炎症抑制能を持つ遺伝子を探索した結果、と併せてその特徴について精査を行っている。今後は、これらの遺伝子のノックアウトを行い、当該菌株が炎症抑制機能を消失するか確認していく。また、炎症性サイトカイン抑制機能のメカニズムを探索するため、宿主側の遺伝子転写についても評価した。抑制グループの代表株を様々な条件で感染させた培養細胞からRNA抽出しRNASeqを行った。結果の詳細は現在解析中であるが、宿主機能の抑制メカニズムの解明の可能性を見出した。今後は細菌側・宿主側の両方のアプローチから炎症抑制機能をさらに明らかにし、プロバイオティクス大腸菌としての利用に資する知見を蓄積していく。
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