2019 Fiscal Year Research-status Report
非結核性抗酸菌同定のためのメタゲノム解析法とゲノムデータベースの確立
Project/Area Number |
19K16643
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 悠希 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (30749114)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非結核性抗酸菌症 / NTM / MLST / 全ゲノムシーケンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は非結核性抗酸菌(NTM; Non-Tuberculous Mycobacteria)に対するゲノムシーケンスの実施および単離株に対する迅速・正確な同定を可能とする新規手法の開発を行った.NTM症は難治性の呼吸器疾患の総称であり,NTMはおよそ200種が知られ,亜種の違いにより異なる薬剤耐性を示す.そのため治療方針決定のためには亜種レベルの正確な同定が要求され,これまでの手法では正確な同定を行うことは困難であった.それに加えて,当初ゲノム配列が既知であったNTMは限られており,ゲノム情報に基づいた種同定が行えない状況にあった. 2019年度はこれまでゲノム情報が不十分であった63種のNTMに対してMinIONとHiSeqによる大規模なゲノムシーケンスを実施し,ハイブリッドゲノムアセンブリによりゲノム配列を構築した.またMLST (Multi-Locus Sequence Typing)をベースとした同定手法であるmlstverseの開発を行うとともに,既知のNTMゲノム配列に加えて新規にシーケンスを行った種から計184遺伝子を選定しMLSTデータベースを構築した.これにより同定可能なNTMは175種にのぼり,亜種が知られるM. avium, M. abscessusなどを含む185亜種の同定を実現した.開発した同定手法の評価のために,従来手法である質量分析により同定された10検体および同定できなかった19検体の計29検体について解析を行ったところ,29検体すべてについて,mlstverseによる同定結果は全ゲノム情報を相同性検索した結果と一致していた.2020年度においてはメタゲノムDNAからNTM同定を可能となるようDNA抽出方法および同定手法の最適化を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は非結核性抗酸菌(NTM; Non-Tuberculous Mycobacteria)に対するゲノムシーケンスの実施および単離株に対する迅速・正確な同定を可能とする新規手法の開発を行った.NTM症は難治性の呼吸器疾患の総称であり,NTMはおよそ200種が知られ,亜種の違いにより異なる薬剤耐性を示す.そのため治療方針決定のためには亜種レベルの正確な同定が要求され,これまでの手法では正確な同定を行うことは困難であった.それに加えて,当初ゲノム配列が既知であったNTMは限られており,ゲノム情報に基づいた種同定が行えない状況にあった. 2019年度はこれまでゲノム情報が不十分であった63種のNTMに対してMinIONとHiSeqによる大規模なゲノムシーケンスを実施し,ハイブリッドゲノムアセンブリによりゲノム配列を構築した.またMLST (Multi-Locus Sequence Typing)をベースとした同定手法であるmlstverseの開発を行うとともに,既知のNTMゲノム配列に加えて新規にシーケンスを行った種から計184遺伝子を選定しMLSTデータベースを構築した.これにより同定可能なNTMは175種にのぼり,亜種が知られるM. avium, M. abscessusなどを含む185亜種の同定を実現した.開発した同定手法の評価のために,従来手法である質量分析により同定された10検体および同定できなかった19検体の計29検体について解析を行ったところ,29検体すべてについて,mlstverseによる同定結果は全ゲノム情報を相同性検索した結果と一致していた.2020年度においてはメタゲノムDNAからNTM同定を可能となるようDNA抽出方法および同定手法の最適化を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度においては喀痰検体などに含まれるメタゲノムDNAからNTMを直接同定できるよう核酸抽出方法および同定手法の最適化を行っていく.評価のために人工的に喀痰組成を模倣した喀痰モックを作成し,核酸抽出手法およびホストゲノムDNAの除去による喀痰中のNTMゲノムDNA濃縮手法の検討を行う.2019年度に構築したMLSTデータベースの改善により各NTM検出感度および特異度の改善を行う.
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Causes of Carryover |
MinIONによって得られたゲノムシーケンスの出力配列が当初の予想よりも多く得られ,トータルのシーケンス回数が削減できたため.次年度使用額についてはより多くのメタゲノム抽出試薬の購入に充当する.
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Research Products
(5 results)