2020 Fiscal Year Research-status Report
非結核性抗酸菌同定のためのメタゲノム解析法とゲノムデータベースの確立
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19K16643
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 悠希 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (30749114)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非結核性抗酸菌症 / NTM / MLST / 全ゲノムシーケンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はNTM菌株からの菌種同定をリアルタイムに同定できるシステムの構築と,メタゲノムDNAからNTM同定を可能となるよう,DNA抽出方法および同定手法の最適化を実施した.NTM症は難治性の呼吸器疾患の総称であり,NTMはおよそ200種が知られ,亜種の違いにより異なる薬剤耐性を示す.そのため治療方針決定のためには亜種レベルの正確な同定が要求され,これまでの手法では正確な同定を行うことは困難であった.それに加えて,当初ゲノム配列が既知であったNTMは限られており,ゲノム情報に基づいた種同定が行えない状況にあった.2020年度は前年度に開発したmlstverseを用いて,ナノポアシーケンサーであるMinIONから出力される信号データに対して,リアルタイムに解析を行う解析パイプラインを構築した.これによりNTMが菌株として保存されていれば,同日中に同定結果を出すことが出来るようになった.またそれと並行して,喀痰等の臨床検体に含まれるメタゲノムDNAからNTMを直接同定できるよう核酸抽出方法および同定手法の最適化を行った.喀痰検体に対してNALC-NaOHによる前処理を行った後,6種類の核酸抽出手法の比較を行った結果,喀痰検体において予想される細菌濃度が低い状況において,ガラスビーズを用いた細胞破砕による抽出手法が,時間面,抽出効率面において最も適していた.NTMの菌種同定は依然として菌株からの同定が必要であり時間を要することから,2021年度においては2020年度に検討した核酸抽出手法に全ゲノム増幅手法を組み合わせることで,培養フリーな迅速・正確なNTM同定手法の実現を目指し検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による遅延はあるものの,概ね順調に進展している. 2020年度の計画としては人工喀痰モックを作成し,濃縮手法について比較検討することを想定していたが,NALC-NaOHによる前処理検体をシーケンスしたところ,NTM以外に由来する配列が微量であったため,増幅手法の比較検討に切り替えて研究計画を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては2020年度に検討した核酸抽出手法に全ゲノム増幅手法を組み合わせることで,培養フリーな迅速・正確なNTM同定手法の実現を目指し検討を進める.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により実験の遅延が発生したため.R3年度は臨床検体からのNTMの直接検出のための検討を行うべく,主として物品費(全ゲノム増幅試薬,ONT社のフローセルやシークエンシングキットの購入)に充てる.
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Research Products
(3 results)