2020 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸酵素から解き明かす結核菌の低酸素適応と慢性感染
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19K16646
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松尾 祐一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (60802824)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 結核菌 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺結核の病原菌である結核菌は、酸素分圧に応じて細胞膜に存在する呼吸酵素群を使い分けることで、ATP産生に関わるエネルギー代謝経路を再構成し、多様な酸素分圧下での生存を可能とする。低酸素環境では、リンゴ酸-キノン酸化還元酵素 (MQO) とジヒドロオロト酸脱水素酵素 (DHODH) が発現誘導される。MQOは、電子伝達系とTCA回路、及びDHODHは電子伝達系とピリミジン生合成経路に関わるように、これらの分子は複数の代謝経路で役割を果たす。本研究では、生化学的解析によりMQOとDHODHの反応機構を原子レベルで明らかとし、結核菌のエネルギー代謝分子を標的とした創薬開発へ向けた基盤とすることを目的としている。 本年度は、大腸菌を用いて組み換えタンパク質の精製と、生化学的解析に取り組んだ。その結果、高い酵素活性を保持した組換えDHODHの発現条件を見出し、組み換えタンパク質の精製条件を見出した。そして、これを用いて基質特異性の検討を行い、組換えDHODHがキノンとジヒドロオロト酸を基質とすることが明らかとなった。さらに、多くの生物の電子伝達系を阻害する約600個の化合物を用いて、阻害剤の探索を行った。しかし、組換えDHODHを阻害する化合物を同定することはできなかった。現在、さらなる化合物ライブラリーを用いて、阻害剤の探索を行っている。一方、組換えMQOに関しては、複数の宿主を用いて、組み換えタンパク質の発現を検討したが、高い酵素活性を土下組み換えタンパク質を得ることはできなかった。
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