2019 Fiscal Year Research-status Report
DNA二本鎖切断を誘導し、口腔癌の原因となる歯周病菌と病原因子の特定
Project/Area Number |
19K16647
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
手島 理絵 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30816187)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | パルスフィールド電気泳動 / 好気性菌 / 感染時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)歯周病原因菌のin vitro感染実験 歯周病原因菌のスクリーニングと解析 ATCCや他の研究機関で分離された菌株を入手し、SAS細胞に歯周病菌を感染させ、感染後24時間で感染細胞を回収し、パルスフィールド電気泳動を行い、DNAをEtBrにて染色し評価を行った。まず好気性菌である、Streptococcus anginosus、Streptococcus sanguinis (ATCC105576)、Streptococcus gordoni (ATCC10558)、Enterococcus faecalis (ATCC19433)、Streptococcus mutance(ATCC25175)について検討を行った。これらは好気性菌であり、細胞の培地内で急速に増加するため、MOIを小さくし感染を行ったが、いずれの細胞、いずれのMOI条件でも好気性の歯周病菌は培地内で急速に増加し、24時間以内に細胞が死んでしまった。よって感染時間の短縮を行ったが、12時間でも細胞は死滅。よって6時間後に細胞を回収し、PFGEを行ったが、DSBを示唆する所見は認めなかった。 次に嫌気性菌であるTreponama denticola(spirochaeta)、Polphyromonas gingivalisについて検討を行った。Treponama denticola は増殖速度が遅いため、十分な量の菌が得られなかったことより、濃縮して感染を行ったが、パルスフィールド電気泳動ではDSBを示唆する所見は認めなかった。Polphyromonas gingivalisに関しては感染24時間後にパルスフィールドにてDSBを示す所見を認めたが、同条件で再度行ったところ、DSBを示す所見が認められず、再現性が得られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Treponama denticola(spirochaeta)の培養が困難であり、培地、培養温度、培養時間の条件を変更し培養を試みたが、十分な量の菌を得ることが出来ず、Treponama denticolaをSAS細胞に感染させることができなかった。 好気性菌に関してはMOIを小さくして細胞に感染させても、細胞培地内で急激に増殖し、細胞が死んでしまうため、感染細胞を回収することができなかった。 SAS細胞にAggregatibacter actinomycetemcomitansを感染させた場合、感染24時間後から免疫蛍光染色にてDNA損傷を示すγH2AXが見られるようになり、DSBの蓄積を確認することができた。そして、パルスフィールドでも感染24時間後からDSBが確認できるようになっているため、DBSの蓄積は24時間後以降に認められる可能性があると思われる。よって好気性菌を6時間感染させるのでは感染時間が短いと考えられる。 Polphyromonas gingivalisに関しては実験結果に再現性が得られず、また、パルスフィールド電気泳動にてアポトーシスの誘導の可能性を示唆する所見も認めたため、評価が困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
好気性菌に関しては細菌感染では細胞が死んでしまうため、細菌培養上清の添加し、再度検討を行う予定である。 Polphyromonas gingivalisに関してはLPSやジンジパインなどの毒素を産生しているため、細菌培養上清の添加で再度検討を行い、アポトーシスの誘導の有無も確認する予定である。 大分大学の口腔癌患者の臨床検体を用いて、唾液、歯垢、組織のマイクロバイオームを調べた結果、非腫瘍組織と比較し、腫瘍組織内では主要な歯周病菌であるCapnocytophaga sputigena, Fusobacterium nucleatum, Treponema denticola が増殖しており、さらに、Porphytmonas gingivalis, Prevotella intermediaの2菌は健常者では検出されず、口腔癌患者のみから検出されたことが分かっていることより、Capnocytophaga sputigena, Prevotella intermediaに関しては菌株を入手し、DSB誘導能があるかを検討していきたい。
|
Causes of Carryover |
現在所有している菌株での感染実験の進行が遅れていることにより、次のステップに進むことができず、次年度使用額が生じている。 Capnocytophaga sputigena, Prevotella intermediaなど新しい菌株を入手し、DSB誘導能があるかを検討していきたい。
|