2022 Fiscal Year Annual Research Report
結核菌由来メンブレンヴェシクルが菌の宿主内潜伏に果たす役割と分子機構の解明
Project/Area Number |
19K16651
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山口 雄大 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (40726080)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結核 / メンブレンヴェシクル / BCG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は結核菌の潜伏を阻害する新規治療薬の開発を最終目標に、結核菌由来のメンブレンヴェシクル(MV)が宿主細胞内潜伏に果たす役割の解明を行うものである。初年度からMV産生制御因子の探索を行いつつ、MV低産生株、MV高産生株の作成をヒト型結核菌近縁のウシ型結核菌弱毒株BCGを用いて試みていた。しかしながら、MVの産生量の評価系構築やMV精製時の夾雑物混入を排除できないことなどから、継続が困難となった。そこで、MVによる菌の潜伏とは反対に、MVにより菌の排除が生じるかを評価することにした。 一昨年度、昨年度は培養条件の異なる2種のBCG由来のMVに対する宿主応答を、マクロファージ様培養細胞(THP1)を用いて評価した。2種のMVのうち、一方はTHP1細胞で炎症性サイトカインの産生をTLR2を介して誘導する。が、もう一方のMVはサイトカインの産生を誘導しなかった。本年度はそれぞれのMVをマウスに投与(免疫)して、宿主免疫を活性化するか(特異的抗体の産生を誘導するか)を評価した。結果、培養細胞においてサイトカイン産生を誘導しなかった(自然免疫刺激活性を示さなかった)MVは、マウスでも抗体産生を誘導しなかった(獲得免疫刺激活性を示さなかった)。しかし、もう一方の培養細胞で自然免疫刺激活性を示したMVは、マウスでもBCG特異的抗体の産生を誘導した。さらに誘導された免疫は抗酸菌感染に対して防御的に働くことがしめされ、新規ワクチンとしての有用性が示唆された。
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