2021 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネム耐性新菌種P. asiensis及び近縁菌種の系統分類と分子疫学解析
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19K16652
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
遠矢 真理 順天堂大学, 医学部, 助教 (20804694)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Pseudomonas / 新菌種 / ANI / dDDH / 全ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでP. putidaとして同定された臨床分離株から3菌種(Pseudomonas asiatica, Pseudomonas juntendi, Pseudomonas yangonensis)を見出し、それぞれ報告をした。また新菌種として報告したP. asiaticaがPseudomonas感染症の特効薬であるカルバペネムに耐性を示し、多剤耐性菌としても分離されていることも報告した。 今年度は、日本の医療施設で分離され、自動菌種同定装置でP. putidaもしくはP. fluorescensとして同定された42菌株を用いて、全ゲノム情報をもとにした菌種同定を行った。これらの菌株の全ゲノム情報はMiSeqを用いて決定し、ANI及びdDDH解析を実施した。臨床分離株とtype strain (基準株) の全ゲノム情報を比較し、ANI値: >95%またはdDDH値: >70%を示すtype strainの菌種をその臨床分離株の菌種とした。この結果、42菌株のうち30菌株 (71.4%) は既存菌種であったが、残りの12菌株 (18.6%) は既存菌種には同定されなかった。既存菌種に分類された30株の内訳は、5株: P. carnis、4株: P. juntendi、3株: P. tohonis、各2株: P. fluva、P. glycinae、P. mosselii、P. otitidis、P. protegens、P. qingdaonensis、P. rhodesiae、各1株: P. asiatica、P. atacamensis、P. lactis、P. putidaであった。既存菌種に分類できなかった12菌株をANI及びdDDH解析を行ったところ、9つの菌種に分かれていることがわかった。この9菌種をP. sputi sp. nov.、P. pseudonitroreducens sp. nov.、P. parasichuanensis sp. nov.、P. paraglycinae sp. nov.、P. ceruminis sp. nov.、P. parakoreensis sp. nov.、P. pharyngis sp. nov.、P. urethralis sp. nov.、及びP. faucium sp. nov.と命名し、新菌種の提唱を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までで3菌種の新菌種の報告を行っており、概ねは順調に進んでいる。しかしながら今年度については投稿した論文のacceptまでに至らなかったため、「やや遅れている」との評価とした。 遅れてしまった理由としては産前産後休の取得と新型コロナ感染症の影響に伴う自宅待機期間が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで新菌種として提唱した菌株の病原性を評価するため、カイコへの接種実験を行う。また、詳細なMALDI-TOFMS解析を行い、新菌種を含めたPseudomonas属株のデータベースを作成する。
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Causes of Carryover |
産前産後休の取得と新型コロナウイルス感染症の影響から、自宅待機期間及び自宅勤務期間が多くなり、実験関連の消耗品が当初の計上額よりも下回ることになったため。
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