2020 Fiscal Year Annual Research Report
臨床分離株から検出される家畜由来薬剤耐性遺伝子のモニタリングとその制御
Project/Area Number |
19K16657
|
Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
蓮沼 裕也 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 講師 (70643013)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 薬剤耐性菌 / AMR / floR / qnr / 地域サーベイランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒトから臨床分離される菌株において、薬剤耐性遺伝子が家畜由来株から水平伝播、拡散したことを示唆するいくつかのマーカー耐性遺伝子候補として、floRおよびqnr遺伝子の保有菌株において、他の薬剤耐性遺伝子との関係性を明らかにすることである。家畜や環境中から顕在化する新たな薬剤耐性菌を早期に検出し、制御するためにはヒトの治療に用いられない、または検査において問題とされない抗菌薬に対する耐性遺伝子に着目して、ヒト環境への拡散の程度やそのリスクを早期にモニタリングする必要がある。家畜からヒトへ薬剤耐性菌が拡散したことを示唆する耐性遺伝子マーカーを保有する株を解析することによ り、新たな薬剤耐性菌拡散の分子生物学的特徴を明らかにし、その制御方法へと繋げる。 2020年度は、2019年度に実施したfloRおよびqnrS2陽性大腸菌株の全ゲノム配列決定を詳細に解析し、染色体遺伝子上に薬剤耐性遺伝子としてblaCTX-M-65、floRおよびqnrS2がカセット状に存在していることを明らかにした。さらに、広域セファロスポリン耐性を示す臨床菌株、健常人由来菌株ならびに食肉由来菌株から得られたfloR陽性大腸菌株13株について全ゲノム解析を行ったところ、floRを保有する株のSTはばらついていて、家畜由来と推定されるものも多く認められた。保有するbla遺伝子はblaCTX-M-55が臨床菌株、健常人由来菌株ならびに食肉由来菌株において共通に保持されていた。 さらに、臨床検査センターを経て日本全国から分離されたESBL産生および非産生大腸菌それぞれ200株および100株からqnr遺伝子保有率を調べたところ、それぞれ3%および2%の保有率だった。qnr遺伝子は日本国内では拡散していないものの潜在的に保有する株が存在していることが示唆された。
|
Research Products
(9 results)