2020 Fiscal Year Annual Research Report
TLR刺激によるフラビウイルスの病原性亢進メカニズムの解析
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19K16669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 達也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10837272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス学 / フラビウイルス / 自然免疫 / 病原性 / 蚊 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、蚊の唾液がフラビウイルス感染に与える影響を検討し、蚊の唾液腺抽出物(Salivary gland extracts, SGEs)をマウスのFootpadに皮下接種し、遺伝子発現の変化をRNAシーケンス解析を行うことで、SGEs刺激により接種部位ではToll-like receptor(TLR)シグナルといった自然免疫応答の活性化が誘導されることを明らかとした。また、NF-κBの転写応答配列を持ったレポーター遺伝子が組込まれた細胞に各種TLRを発現させた細胞株を用いて、SGEsを反応さたところ、蚊の唾液中にはTLRを刺激する物質が存在することが示唆された。さらに、TLR刺激のウイルス感染への影響を検討するために、各種TLRを刺激するリガンドをウイルスと共にマウスのFootpadに感染させ、病原性を検討したところ、TLR2またはTLR9リガンド刺激により病原性が増強することを明らかにした。また、TLR2刺激ではSGEs刺激と同様に感染局所(Footpad)に多数の免疫細胞の浸潤が認められることを示した。SGEs刺激やTLR2刺激により感染局所に集簇する免疫細胞集団をマスサイトメーター(CyTOF)を用いて網羅的に解析を行うことで、好中球の数が顕著に増加すること、中和抗体による好中球の除去によりTLR2刺激による病原性増強が抑制されること明らかとした。以上のように、蚊の唾液がもたらす自然免疫応答に着目し、自然免疫応答の中でもTLR2刺激によりフラビウイルスの病原性が増強し、好中球が病原性増強に重要な働きをしていることを明らかにした。
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