2020 Fiscal Year Annual Research Report
中部アフリカにおける出血熱ウイルス不顕性感染の網羅的解析及び抗体遺伝子配列解析
Project/Area Number |
19K16673
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
牛島 由理 長崎大学, 熱帯医学研究所, 特任研究員 (80812297)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新興・再興感染症 / ウイルス / サーベイランス / 公衆衛生 / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過去にエボラ出血熱のアウトブレイクを経験し、ある一定数の抗エボラウイルス抗体保有者が存在するガボン共和国において、抗出血熱ウイルス抗体陽性検体を同定し、その抗体の遺伝子配列を決定することを目的とした。 令和1年度までに、ヒト検体を用いて、エボラ、マールブルグ、ラッサ、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスの表面糖タンパク質に対する抗体検出をELISAおよび中和試験を用いて行い、いずれかの方法において陽性検体を見出した。また、非出血熱ウイルスではあるがガボン共和国で感染リスクが予想されたリンパ球性髄膜炎ウイルス(LCMV)に対しても同様に調べたところ、アフリカで初めて中和抗体を検出し、ヒト感染リスクを明らかにした。 令和2年度では、新規ヒト検体も加え、計画通りさらに解析を進める予定であったが、令和1年度3月、現地での活動中COVID-19パンデミックの影響を受け緊急帰国となった。再渡航の目途は全く立たず、本研究計画を進めることが非常に困難となり中断を余儀なくされた。その代わりに、令和1年度で見出したLCMVに対する初めてのヒト中和抗体検出という結果から、ガボン共和国におけるLCMVのヒトへの感染経路を明らかにするため、既に日本で保管していた野生動物検体を用いた解析を進めた。その結果、動物検体326検体中、これまでに報告のあった齧歯類Mus minutoidesに加え、Lophuromys sikapusiという種の齧歯類、ヤマアラシ、食虫目でもLCMVの遺伝子あるいはその抗体が検出された。 当初の目的は達成できなかったが、本研究により、アフリカで初めてヒトにおけるLCMVに対する抗体陽性率と中和抗体を示し、少なくともガボン共和国において、LCMVのヒトへの感染が身近な齧歯類からこれまで報告のない野生動物との接触によってもたらされていることを明らかにした。
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[Journal Article] Identification of potential novel hosts and the risk of infection with lymphocytic choriomeningitis virus in humans in Gabon, Central Africa2021
Author(s)
Ushijima Y, Abe H, Ozeki T, Ondo GN, Mbadinga MJVM, Bikangui R, Nze-Nkogue C, Akomo-Okoue EF, Ella GWE, Koumba LBM, Nso BCBB, Mintsa-Nguema R, Makouloutou-Nzassi P, Makanga BK, Nguelet FLM, Zadeh VR, Urata S, Mbouna AVN, Massinga-Loembe M, Agnandji ST, Lell B, Yasuda J.
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Journal Title
International Journal of Infectious Diseases
Volume: 105
Pages: 452~459
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research