2021 Fiscal Year Annual Research Report
北方系ヤブカを用いたデングウイルスおよびジカウイルスの感染評価系の確立
Project/Area Number |
19K16675
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
内田 玲麻 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (50756723)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ジカウイルス / 蚊 / 感受性 / 媒介能 / 次世代シークエンス / 変異 / 適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、未だウイルス媒介能の明らかとなっていない日本産の北方系ヤマトヤブカについて、デングウイルスとジカウイルスの感受性、媒介能および蚊体内で起こるウイルス変異を評価し、下記の成果を得た。 ①日本産ヤマトヤブカのジカウイルス感受性:野外採集したヤマトヤブカおよび実験室飼育されているヒトスジシマカ、ネッタイシマカにジカウイルスを経口感染させ、経時的に蚊体内のウイルス量を定量した。その結果、感染7日後において、18.2%のヤマトヤブカでウイルス感染が確認された(感染率)。また、感染14日後において、60.0%のヤマトヤブカでウイルスの体内播種が確認された(播種率)。上記の感染率はヒトスジシマカやネッタイシマカに比べ低かったが、体内のウイルス量は両者と同等あるいはそれ以上であった。 ②日本産ヤマトヤブカのジカウイルス媒介能:ジカウイルスを経口感染させたヤマトヤブカの唾液を採集し、ウイルスRNAの検出を試みた。その結果、感染5、10日後にそれぞれ20.0%、19.0%の蚊で、唾液中にウイルスRNAが検出された。 ③蚊体内で増殖したウイルスの変異評価:ジカウイルスを経口感染させたヤマトヤブカ、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカから、経時的に総RNAを抽出し、ウイルスゲノムを逆転写PCRにより増幅し、増幅産物を次世代シークエンサーにより解析した。その結果、全ての蚊種に共通する1%以上の一塩基多型として、14か所の変異が同定された。この内、3か所は非同義置換であり、2か所はエンベロープタンパク、1か所はNS5タンパクに見られた。エンベロープタンパク内に見られた2か所の非同義置換は、蚊体内で経時的にその割合が上昇し(とりわけヤマトヤブカで)、エンベロープタンパクのN-結合型糖鎖修飾の調節に関わる変異であることが示唆された。 なお、当初予定されていたデングウイルスの評価は達成できなかった。
|