2020 Fiscal Year Annual Research Report
TLR3応答制御におけるmTORC2の脂質センサーとしての機能の解析
Project/Area Number |
19K16685
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 亮太 東京大学, 医科学研究所, 助教 (90779703)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 自然免疫 / TLR / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORはmTORC1、mTORC2の2つの複合体を形成している。mTORC1はアミノ酸センサーであり、リソソームに局在し、一本鎖RNAセンサーであるTLR7依存的なI型インターフェロン産生に必須である。一方、mTORC2は増殖因子などにより活性化され細胞内骨格の再構築を行うが、簡便な活性化の検出方法もない。申請者の結果によりmTORC2とTLR3応答の連携が明らかになったが、依然としてmTORC2の代謝センサーとしての役割は不明であった。 申請者らは、gRNAライブラリースクリーニングによりTLR3応答に必要な遺伝子の候補を得た。その中の脂肪酸合成経路関連分子のノックアウト細胞において、TLR3応答が減弱された。 de novo脂肪酸合成が重要なのか、または脂肪酸自体が重要なのか検討した。脂肪酸合成酵素であるFasn阻害剤C75で低下したTLR3応答に、外から飽和脂肪酸を加えたところ、CCL5産生は回復する結果を得られた。また、TLR3はリガンド刺激依存的に細胞内移行することがわかっている。脂肪酸の除去によって、TLR3リガンドpoly(I:C)刺激によるTLR3の細胞内移行が低下すること、脂肪酸添加によって回復することを確認した。 TLR3応答にはmTORC2活性が重要である。C75処理、または脂肪酸除去により、mTORC2シグナル分子のリン酸化が抑えられ、脂肪酸添加により回復したことから脂肪酸をmTORC2がセンスしている可能性が示された。 本研究により、mTORC2が脂肪酸のセンサーとしての役割を果たすことがわかった。また、mTORC2が脂肪酸の量をモニターし、十分であれば免疫応答を許容し、不十分であれば免疫応答を禁止し、代謝応答を促進し脂肪酸を作るというスキームを示せた。これは、mTORC2が免疫応答のバランスを制御するオペレーターの役割を果たす「Immuno-metabolism」の新たなモデルとなる。
|
Research Products
(2 results)