2019 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う胸腺退縮のメカニズムの解明および免疫系への影響
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19K16689
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬海 美穂 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任助教 (50737533)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胸腺 / 退縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺はT細胞産生を担う中枢免疫組織であり、主に未熟T細胞と微小環境を構築する胸腺上皮細胞から構成される。その胸腺は、思春期以降に萎縮が始まり、加齢に伴いT細胞産生能が低下する。申請者はこれまでマウスにおいて、胸腺上皮細胞において幹細胞の活性を評価するコロニー培養系を確立し、また、移植により特定の胸腺上皮細胞集団が個体の生涯にわたり機能的なT細胞産生を維持することと明らかにしてきた。さらに、幹細胞活性の指標であるコロニー形成能が生後直後に急速に低下すること、この低下は胎生後期から出生直後の活発なT細胞発生に依存することを見出し、これが思春期以降に認められる生理的な胸腺退縮の主要な要因である可能性を示してきた。胸腺は生理的な退縮の過程で脂肪化すること、組織内に様々な炎症性因子の発現が増加することはよく知られている。一方で、末梢では加齢に伴いT 細胞の亜集団の割合や機能が変化することが知られている。しかし、脂肪細胞をはじめとする胸腺退縮に伴う変化がどのようにT細胞産生に寄与し得るのかはよくわかっていない。そこで、本研究では、加齢に伴う胸腺微小環境の変化のひとつとして、胸腺における脂肪細胞に焦点を当てる。本年度は、脂肪を有する細胞の出現時期を明らかにするため、脂肪を有する細胞の検出システムの構築を行った。また、胸腺退縮とT細胞産生について解析するため、様々な週齢において胸腺から産生されるT細胞をラベルできる遺伝子改変マウスの作製に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腺内に脂肪細胞が出現する時期を明らかにするため、胸腺組織を用いて、脂肪を有する細胞の検出システムを検討した。 胸腺退縮過程で産生されるT細胞の変化を検討するため、任意時間に胸腺で産生されるT細胞をラベルすることのできるマウスの作製を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
胸腺組織において脂肪を有する細胞を検出することで、脂肪細胞の出現時期を明らかにする。 様々な週齢において胸腺から産生されるT細胞をラベルできるマウスを作製し、胸腺退縮過程で産生されるT細胞の数や機能について検討する。
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Causes of Carryover |
マウス作製経費が次年度に必要となったため。
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Research Products
(3 results)