2019 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞の腫瘍局所残存性を利用した新規抗がん免疫療法の確立
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19K16713
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
飯田 雄一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (50734985)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / CCL19 / 間葉系細胞 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、担がんモデルマウスを用いたCCL19発現間葉系細胞(MSC/CCL19)がん治療モデルの確立および、腫瘍微小環境における免疫細胞の動態解析が目的であった。マウス大腸がん細胞CT26を皮下接種し、腫瘍形成したのちにMSC/CCL19を局所投与した固形がん治療モデルでは、治療群において顕著な腫瘍抑制効果が確認できた。この抗がん効果は、免疫不全ヌードマウスにおいては無効になることからT細胞依存的な抗がん応答であると考えられる。免疫組織化学染色で腫瘍浸潤リンパ球を観察したところ、CD4陽性細胞、CD11c陽性細胞が顕著に増加していた。フローサイトメトリーにて詳細に解析を行ったところ、MSC/CCL19を局所投与した群で、CD45陽性F4/80陰性CD4陽性CD11c陽性細胞が顕著に腫瘍へ浸潤していた。抗がん効果を担っているエフェクター細胞であるIFNγ陽性CD8陽性細胞の増加も観察された。以上の結果から、MSC/CCL19の局所投与はケモカインCCL19によりCD45陽性F4/80陰性CD4陽性CD11c陽性(樹状細胞様)細胞を腫瘍局所へ集積させ、結果的にIFNγ陽性CD8陽性細胞を増加し腫瘍抑制に働いたと考えられる。しかしながら、これらCD8陽性細胞はその多くが抑制分子であるPD-1を発現しており、疲弊していることが観察された。そこで、免疫チェックポイント阻害抗体である抗PD-L1抗体との複合療法を行ったところ、6匹中5匹のマウスが腫瘍を拒絶した。 以上の結果から、免疫チェックポイント阻害によるT細胞の疲弊解除のみならず、自然免疫細胞の腫瘍浸潤も抗がん免疫応答には重要なポイントであると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マテリアルの準備、実験計画書等の準備がスムーズに進み、進捗に問題なく実験が遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
MSC/CCL19の局所投与により抗がん効果はマウスCT26細胞の皮下移植モデルで観察されたが、今後はいくつかの癌腫で確認する必要がある。具体的には、マウス肺癌細胞株3LLやメラノーマ細胞株B16である。今後は、異なる癌腫において腫瘍抑制効果の有無を検討する。また局所投与は適応に制限があるため、静脈投与においてMSCの腫瘍局所への集積を観察する。ルシフェラーゼ発現MSCを既に作成済みであるため、担がんマウスに静脈投与した後に、腫瘍へ集積するかin vivoイメージングシステムで解析を行う。
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Causes of Carryover |
マウス購入費を次年度に持ち越すため。
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Research Products
(2 results)