2020 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化能、DNA修復能、DNA変異量の解析による胃がん発生の新規リスク因子の同定
Project/Area Number |
19K16722
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
幾瀬 圭 順天堂大学, 医学部, 助教 (70750876)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 酸化ストレス / 抗酸化能 / 塩基除去修復酵素 / 胃癌 / 小児 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度と同様に、検討に参加された患者の胃粘膜生検組織を対象に抗酸化能およびDNA修復能の評価と蓄積したDNA変異の定量的解析を行った。 抗酸化能の評価には抗酸化物質を誘導するNrf2、抗酸化酵素のGPX、PRX、TRX、HO-1の胃粘膜生検組織上での発現をウェスタンブロット法を用いて解析した。また、DNA修復能の評価には酸化ストレスに伴うDNA損傷の修復を担う塩基除去修復酵素(OGG1、MUTYH、MBD4、NTHL、NEIL1-3)の胃粘膜生検組織上での発現も同様にウェスタンブロット法を用いて解析した。蓄積したDNA変異の定量的解析は酸化ストレスを原因とするDNA変異の程度を表す8-OHdG、AP-siteの胃粘膜生検組織上での発現をビオチン検出法で測定した。 昨年度と合わせて、全体の60%程度の症例収集と50%程度の組織解析を施行し、年齢増加に伴う抗酸化物質誘導酵素Nrf2、抗酸化酵素(GPX、HO-1)の発現低下と、塩基除去修復酵素 (OGG1、MUTYH、MBD4)の発現低下およびDNA変異の程度をあらわす8-OHdG、AP-siteの増加を確認した。また、ヘリコバクター・ピロリ菌感染に伴う抗酸化能、DNA修復能、DNA変異の程度の変化も確認された。 現時点での結果は胃癌発生の主因の一つである酸化ストレスとそれに伴うDNA変異が加齢およびヘリコバクター・ピロリ菌感染によって変化することを示唆しており、「酸化ストレスに対する抗酸化能やDNA損傷を補う修復能がヘリコバクター・ピロリ菌感染や食生活などのリスク因子や加齢によって変遷することでDNA変異が蓄積して胃癌が発生する」という本検討における新たな仮説を支持するものであった。本検討の現段階での結果を関連学会にて公表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者登録および検体の処理と解析は想定したペースで進んでおり、研究の進展は順調であると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間内での遂行を目指して症例の登録と解析を進める。早期に予定する解析を終えた場合には各酵素間の発現変化を生じる要因についての検討を考慮する。
|
Causes of Carryover |
予定よりも検体解析数がやや少なかったために未使用額が発生しました。予定検体数の解析を行った際には予定使用額に達する見込みです。
|
Research Products
(3 results)