2019 Fiscal Year Research-status Report
スプライシング・NMD同時制御による抗がんメカニズムの探索
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19K16724
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
辰野 貴則 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教 (90723221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NMD / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、NMD阻害とスプライシング阻害の相乗効果によりがん特異的にスプライシング異常を引き起こして有害なタンパク質を合成させることでがん細胞に障害を与える機構を明らかにすることを目的としている。 2019年度においてはNMD抑制下でのスプライシング阻害剤処理で様々ながん細胞に与える細胞障害性がどの程度変化するかを明らかにすることを目的として研究を進めた。HeLa細胞やHCT116細胞、293細胞などの細胞株に対しスプライシング阻害剤Pladienolide B及びIsoginkgetinを単独で添加した結果、スプライシング阻害に至適な濃度では強い細胞毒性を示した。そこで、低濃度のスプライシング阻害剤添加時にNMDをshRNAで阻害したが有意な差は認められなかった。 そのため、スプライシング阻害剤ではなく、shRNAを用いた各スプライシング因子の阻害を行ったうえでNMDを阻害することにより、NMD抑制下でのスプライシング阻害ががん細胞に与える細胞障害性を評価することにした。現在までにスプライシング因子SRSF1から3に関して検討を行ったが、細胞培養に使用している血清に影響を受けることが明らかとなり、明確な結果は今のところ得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スプライシング阻害剤Pladienolide B及びIsoginkgetinによるスプライシングの阻害により想定していたより強い細胞障害性が認められたため、スプライシング阻害剤添加時にNMDを阻害することによる影響を細胞障害性で評価することは困難であると考えられた。そのため、スプライシングを阻害しつつ細胞障害性を軽減できるように各スプライシング因子に対する発現抑制を行うことにした。しかし、現在までに調べたスプライシング因子に関しては血清の影響を強く受けたため、さらに阻害するスプライシング因子の幅を広げて検討を行っている最中であり、そのため進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
阻害するスプライシング因子の幅を広げて検討を行い、NMDと同時阻害により強く細胞障害性を示す因子を明らかにする予定である。それにより明らかとなったスプライシング因子を阻害するshRNAを産生する薬剤誘導型安定細胞株の構築を行い、その細胞株に対してSMG6やSMG7などに対するshRNAを導入して細胞障害性を評価する。その後、細胞障害性が顕著に認められたがん細胞について、次世代シークエンサーを用いたRNA-seqによりスプライシング・NMDの同時阻害を行ったがん細胞のトランスクリプトーム解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅れているため予定していたよりも支出額が少なかった。差額については今後遅れてしまった研究分に使用する予定である。
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